Amazonでも導入開始Paidy翌月払いとは?拡大するキャッシュレス決済市場
11月にネット通販大手Amazonでも導入された決済サービス「Paidy」を提供するPaidy社は、先日、自社サービスの事業展開について発表しました。今回は、Paidyの特徴やPaidy同様翌月払いができる決済サービスatoneとの比較、同社CEO杉江氏が語った今後の展開や戦略について紹介していきます。
Outline
Paidyとは?

Paidyは、翌月まとめて支払いができるEC向け決済サービスとして2014年10月にリリースされました。「”欲しい!したい!”を、今スグ。」をコンセプトに、ユーザーはメールアドレスと携帯電話番号のみで簡単に決済ができます。
クレジットカードを保有していない、あるいは利用に抵抗があるといった顧客のニーズにも柔軟に応えることができる決済手段として多くのECサイトで導入が進んでいます。
なぜPaidyが注目されているのか?
国内のクレジットカード保有率は決して低くはなく、ECサイトを利用する際に決済方法としてクレジットカードを選択する人は多いでしょう。
しかしその一方で、クレジットカードを持っていない、もしくは持っているが利用に抵抗があるといった理由からあえて代引き決済を選ぶ人も存在します。Paidyはこのような人たちをターゲットとしています。
そもそも、代引き決済にはさまざまな問題が生じています。例えば、配達員の人材不足や高い再配達率による生産効率の低下などです。これに対し同社CEO杉江氏は、「これらの課題は運輸業界だけではなく、EC事業全体で解決すべき課題であると認識し、Paidyの利用は解決策の1つだと考えられる」と述べています。
合わせて、Paidyは2019年11月からネット通販大手Amazonにも導入が開始され、注目を集めています。Amazonに導入したことで顧客の増加見込みはもちろん、従来Amazonの顧客が選んでいた代引き決済やAmazonギフト券などの非効率な決済手段を減らし、安全でスムーズなショッピングの提供が可能になったといえるでしょう。
Paidyとatoneの比較
Paidyのようなサービスは、国内において後払い決済サービスとして括らることが多いでしょう。
ECサイトで後払い決済サービスを導入すると、クレジットカードを持っていない、もしくは利用に抵抗がある顧客でも利用できるため、新規顧客の獲得やコンバージョン率の向上に期待できます。
ここでは、Paidy同様、翌月払いができる後払い決済サービスにはネットプロテクションズ社が提供するatoneとサービス内容の詳細や導入費用を比較していきます。
Paidyとatoneを比較:サービス内容
サービス名 |
Paidy |
atone |
---|---|---|
支払い締め・納期 |
末締め翌月10日 |
末締め翌月20日 |
会員登録 |
不要 |
必要(無料) |
支払い方法:支払い手数料 |
コンビニ支払い:356円(税込) |
コンビニ支払い:無料 |
決済手数料 |
0円 |
99円(税込) |
分割払い |
可能 |
不可 |
ポイント付与制度 |
なし |
あり |
請求書 |
ペーパーレス |
書面郵送 |
2つのサービスで大きく異なる点は、まず会員登録が必要かどうかという点です。atoneを利用する際は、商品を購入するために会員登録をする必要があります。名前や住所など多くの情報の入力を要するため、その工程に対して顧客のなかには「めんどくさい・・・」と感じてしまう人もいるでしょう。その点、Paidyはメールアドレスと電話番号、SMSで送られてくる4桁の数字のみで決済が完了します。
一方で、コンビニ支払いの手数料にも違いがあり、Paidyは356円(税込)かかるのに対し、atoneは無料となっています。また、購入金額に応じてポイント付与制度もあるため、顧客にとってはatoneのほうが少しだけお得に買い物ができるといえるかもしれません。
Paidyとatoneを比較:導入費用
サービス名 | プラン | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料 | トランザクション費用 |
---|---|---|---|---|---|
Paidy |
− |
0円 |
0円 |
問い合わせ |
− |
atone |
スタンダードプラン |
0円 |
0円 |
2.9%(非課税) |
30円(税抜) |
プレミアムプラン |
0円 |
48,000円(税抜) |
1.9%(非課税) |
30円(税抜) |
両者のサービスには、ともに初期費用や月額費用がかからず、決済手数料のみで利用できるプランがあります。加えて、atoneの場合は月額費用がかかるプレミアムプランも用意されています。このプランは取引額が一定金額を越えるとスタンダードプランより総額費用を抑えれるプランとなっています。
スマートフォンの普及に伴い、ECサイトの競争も激しくなるなか、どれだけ多くの顧客を獲得できるかがポイントになるでしょう。その策の1つとして、新たな決済手段の導入を検討してみるのも良いかもしれません。
156億円の資金調達し、Amazonでも導入されたPaidyの今後の展望とは?
一概にキャッシュレス決済といっても、クレジットカード決済やデビット決済に加え、PayPayやLINEPayなどのウォレット型決済、atoneやGMO後払いなどの後払い決済などさまざまな種類があります。そのような市場のなかで、同社CEO杉江氏は「Paidyの競合は国内にはほとんどいない。PaidyはスウェーデンのKlarnaやオーストラリアのafterpaytouchのようなBNPL決済を目指している。」と自社サービスの立ち位置について示しました。

BNPLとは、Buy Now Pay Laterの略で、「今、買って、後から支払い方法を選択する」という意味があります。BNPLという言葉は、日本国内においてあまり認知されておらず、一般的には「後払い」という言葉で理解され、使われています。
ただ、同社CEO杉江氏によると、この言葉の本質は、「与信を提供すること」にあるといいます。
国内EC市場の拡大は今後も期待することができ、それに応じて現状よりもBNPL決済を身近な存在として普及させていくことが、Paidyのこれからの重要な取り組みになるでしょう。
日本発のBNPL決済として、海外展開を目指すPaidy
海外ではクレジットカードを持っていない顧客がBNPL決済を利用するケースが多いようです。しかし、日本ではクレジットカードが普及しているにも関わらず、クレジットカードの利用に慎重になる傾向があります。
顧客にとってPaidyのようなサービスは、クレジットカードを持つ必要がなく、現金払いに近い感覚で正確な予算管理ができ、ECサイトの運営者にとっては新規顧客の獲得、カゴ落ちの防止、返金処理の効率化など両者にさまざまなメリットがあります。
上述したようにPaidyを利用して決済をおこなう際に必要なのは、メールアドレスと携帯番号、SMSに送られてくる4桁の数字のみです。顧客を信用したうえで与信をし、リアルタイム決済をおこなうことで多くの人が便利と感じる決済サービスを提供することがPaidyの役割といえるでしょう。
キャッシュレス化が進み、さまざまな決済方法が提供されていますが、どのサービスが自社や顧客にとって有益なのか見極めることは非常に重要です。今回紹介した内容を参考に自社サイトの決済方法についてじっくり考えてみてはいかがでしょうか。