人事評価システムとは
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人事評価システムとは
人事評価システムとは、
社員の人事評価を適切に、効率よくおこなうためのシステムのこと です。企業が大きくなると、各メンバーの仕事ぶりを詳細に把握できなくなったり、役割によって異なる成果指標を適切に管理できなくなったりすることがあります。このような状況が続くと、社員のなかで会社への不信感が高まり、エンゲージメントの低下や離職懸念の上昇につながります。
人事評価システムには人事評価に必要な機能が揃っているため、不公平な人事評価を減らし、円滑に人事評価を進めることができます。これによって社員が人事評価に対して納得感を持って働くことができ、エンゲージメントの向上や離職懸念の抑制につながり、結果として業績の向上につなげることができます。
人事評価システムの市場規模
人事管理や給与管理、従業員マネージメントなど、
人事の業務に関わるシステムは年々市場規模を拡大しています 。
新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークを導入する企業が増えたことにより、社員の貢献度合いを適切に測ることがより難しくなりました。そのため、人事評価の体制を見直している企業も多いでしょう。
人事評価の仕組みを新しく組み直す際、人事評価システムを導入しておくことで、適切で効率的な人事評価制度を構築することができます。
人事評価システムを利用するメリット
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これまで、人事評価システムとは何かを解説してきました。ここでは、人事評価システムを導入するメリットを紹介します。
人事管理の工数削減
人事評価システムを導入することで、
人事管理にかかっている工数を削減することができます 。
人事は、人事評価を記入するExcelやスプレッドシートを作成・管理するのに多くの時間を要しています。企業の規模が大きくなればなるほど、集めなければいけないデータが多くなるため、人事評価にかかる工数は大きくなります。
人事評価システムでは、人事評価にまつわるすべての工程をシステム上でおこなえるため、人事評価シートの作成や管理にかかっていた工数を大幅に削減することができます。
評価項目を明確化できる
人事評価システムでは、
評価項目を明確に設定することができます 。
日頃、仕事をしているなかで、部下から「上司が自分の頑張りを評価してくれない」「あの人は不当に高い評価を受けている」といった不満を耳にしたことはないでしょうか。このような不平不満は、評価項目と基準が明確に示されていないときに起こりやすくなります。
人事評価システムで評価項目を明確化することで、このような問題を解消することができます。
人事評価をデータとして蓄積できる
人事評価システムでは、人事評価にまつわるデータ集計をシステム上でおこなうため、
これまでの人事評価をデータとして蓄積することができます 。
蓄積した人事データを活用して、より成果が上がるように人員の配置替えをしたり、人事評価が低い事業部の立て直しに役立てたりすることができます。人事評価システムをこのように活用することで、今社内にあるリソースだけで業績の向上につなげることができます。
人事評価の項目
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これまで、人事評価システムとは何か、導入することでどのようなメリットがあるのかを解説してきました。ここでは、人事評価の項目としてよく用いられるものを解説していきます。
MBO
MBOとは、Management By Objectivesを略した言葉です。
チームで設定した目標をもとに個人の目標を設定し、その達成度合いで評価する仕組みのこと です。
チームで設定した目標達成のために自分がどの部分で貢献するのかを上司と話し合って決めるため、社員の自主性を引き出すことができます。
OKR
OKRとは、Objectives and Key Resultsを略した言葉です。日本語に訳すと「
目標と成果指標 」を表します。
OKRでは企業や組織で定性的な目標を掲げ、その定性目標を達成するうえで必要な定量目標を洗い出していきます。そこからさらに部署やチームといった小さい単位に細分化していって、定性目標と定量目標を設定していきます。
OKRを利用することで、全ての目標が企業や組織の目標とリンクするため、組織全体で一貫した目標を目指すことができます。
360度評価
360度評価とは、
上司からの評価だけでなく、部下や同僚など、さまざまな立場の人から評価してもらう人事評価制度のこと です。
身の回りに、目上の人に対する態度と目下の人に対する態度が異なる人がいるのではないでしょうか。このような場合、上司からの評価は高くても、部下からの評価が低いということが起こり得ます。しかし、上司だけが人事評価を決める場合、この人の評価が高く付いてしまいます。
360度評価を取り入れることで、仕事で関わるさまざまな立場の人からの評価を反映させることができるため、より実体に近い評価をすることができます。また、部下からも評価されることにより、部下に対してのコミュニケーションを丁寧におこなうようになるという効果もあります。
行動評価
行動評価とは、成果評価とは別に、
組織における貢献度合いや、コンピテンシー(※1)に沿った行動を評価する項目のこと です。
成果評価だけを指標にして人事評価を決めてしまうと、自身の成果に対して影響のある業務以外を避けるようになったり、ほかのメンバーの手柄を奪ったりといったモラルに反する行動を取る社員が出てくることがあります。
行動評価を人事評価の項目に設定することで、組織人としてモラルのある行動を促すことができます。また、数字に表れづらいものの組織に貢献している社員を高く評価することもできます。
※1:コンピテンシー
組織において高い業績や成果につながる行動特性のこと
能力評価
能力評価とは、
スキルや知識に対しての評価のこと です。スキルや知識の幅が広いと対応できる業務の幅が広くなるため、その能力を評価する仕組みもあります。
能力評価を細かく分けていくと、企画力や実行力、改善力などと表すことができます。これらに対して、さらに具体的な指標を設定し、評価していきます。
事務職やマーケティング職など、短期での数字で表しにくい部署では、能力評価を用いることがあります。
人事評価システムを導入するときの注意点
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これまで、人事評価システムとは何か、導入することでどのようなメリットがあるのか、人事評価の項目にはどのようなものがあるのかを解説してきました。
ここでは、人事評価システムを導入するときに注意しておきたいポイントを解説します。
公平な評価基準を設定する
人事評価システムを導入して運用する前に、
設定した評価基準が公平なものになっているかどうか を確認しましょう。
企業では、それぞれ役割が異なる社員が同じ評価基準に沿って評価されています。人事評価の基準が一部の人にとって有利なものであったり、不利なものであったりすると、社員の間で不満が生まれてしまいます。
人事評価システムを導入するときは、公平な評価基準の見直しも同時におこないましょう。
評価者・被評価者を明確にし、移行期間の混乱を抑える
従来の評価方法から人事評価システムに切り替える場合、
移行期間は2つの評価方法を運用すること になります。
前期の人事評価は従来の方法で、次期の目標設定は新たな人事評価システムでとなるため、メンバーに混乱が発生することがあります。
運用方法の周知、勉強会の開催など、現場に混乱が起きないよう導入の準備をしましょう。
また、多くの人事評価システムでは、評価者・被評価者を明確に設定する必要があります。
組織上、2つの部署を掛け持ちするというメンバーがいる場合もあるでしょう。そのような場合でも業務の割合に応じて評価の割合を出し、それぞれに評価者を定めるようにしましょう。
評価結果のデータを蓄積し、評価制度の改善につなげる
人事評価システムを導入した後、
評価結果データを蓄積して、評価制度の改善につなげていきましょう 。
人事評価システムを導入するときに公平な評価制度を構築するのはもちろんですが、それでも不公平が発生してしまうことがあります。人事評価システムは評価結果データを蓄積して分析できるものが多く、築盛したデータを評価制度の改善につなげることができます。
このように、データをもとに人事制度を改善し続けることで、社内での人事評価への不満を低減させることができます。
人事評価システムの導入事例
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ここでは、人事評価システムの導入事例を紹介します。ここで紹介する導入事例を参考にして、自社で導入するイメージを膨らませていきましょう。
トヨタ自動車|カオナビ
日本の自動車業界をけん引するトヨタ自動車社は、人事評価システムのカオナビを導入しました。
同社はモビリティサービスの新たな技術を生み出すために数多くのプロジェクトチームを編成しているものの、その人選に多くの時間がかかっていたようです。その背景には、メンバーの保有技術や専門性を一元管理できていなかったということが挙げられてます。
カオナビを導入することで、社員のスキルや過去の担当案件を一元管理し、プロジェクトメンバーを選定するときの工数削減に役立てているようです。また、メンバーの専門性を伸ばすような人員配置にも活用の機会を見出しています。
参考:
トヨタ自動車が、人材管理システム「カオナビ」を導入|PR TIMES
ヤブサキ産業株式会社|Goalous
ガソリンスタンドなどの事業を展開するヤブサキ産業社は、現場と経営者のコミュニケーション活発化のために人事評価システムのGoalousを導入しました。
同社はこれまで、経営者の想いを社内に浸透させるために社内新聞を発行していましたが、社員が読んでいるのか確認できなかったり、反応を得るまでにタイムラグがあったりといった問題を抱えていました。
Goalousにはタイムライン機能が搭載されており、これまで発行していた社内新聞をリアルタイムで届けることができます。これにより、経営者の想いを社内に届けるまでのタイムラグを無くすことができたようです。また、タイムライン形式で発信することで双方向のコミュニケーションを取れるようになり、一体感の創出につながったといいます。
Goalousはゴール機能が搭載されており、1つのゴールに向かってメンバーが競い合う環境の情勢にも役立っています。
参考:
ヤブサキ産業株式会社|Goalous
社内コミュニケーションの活性化につながる
人事評価システム
おすすめの人事評価システム4選
最後に、おすすめの人事評価システムを4つ紹介します。どんな人事評価システムを導入すれば良いか迷ってしまう方は、まずはここで紹介するもののなかから検討してみてください。
また、より多くの人事評価システムのなかから選びたい方はこちらをご覧ください。
Goalous
HPより
➤ 詳しくはこちら
ゴールを見える化することで、チームメンバーに業務の意義を浸透させられる
写真を添付して業務報告することで、自身の仕事をアピールできる
誰がどんな業務にどのように取り組んでいるか可視化できるため、部下の指導に活用できる
ジンジャー人事
HPより
➤ 詳しくはこちら
人事データを一元管理することで、人事業務の工数を大幅に削減できる
人事評価のデータをリアルタイムでグラフにして確認できる
人事異動のシミュレーションに利用できる
カオナビ
HPより
➤ 公式サイトでチェック
従業員の得意な業務や過去の評価、思考の傾向などを管理できる
顔写真付きで従業員のステータスを確認できる
企業に合わせて自在にカスタマイズできる
あしたのクラウド HR
HPより
➤ 公式サイトでチェック
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人事評価システムの導入を進めよう!
いかがでしたか。
人事評価システムは人事業務を効率化したり、公平な人事評価を実現したりできるツールです。その一方、人事評価に関わるため一度導入すると止めることが難しいツールでもあります。
導入前に自社がどのような機能を必要としているのか、あらかじめ確認しておきましょう。
今回紹介した4つのツールよりも多くのツールのなかから選びたい方はこちらをご覧ください。