社会人なら知っておくべき4つの国際問題をわかりやすく解説してみた

北朝鮮問題やイギリスのEU離脱、アメリカと中国の貿易戦争などの国際問題はわれわれ日本と無関係ではありません。しかし、このような国際問題をきちんと理解している人は決して多くはありません。ここではビジネスと切っても切り離せない、国際問題について、代表的なものをピックアップし、解説したいと思います。

知っておくべき国際問題①:北朝鮮問題~北朝鮮はなぜ核を持つようになったのか~

北朝鮮核問題
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近くて遠い隣国ともいわれる北朝鮮。これまで金正恩体制のもと、国際社会に多大な影響力を及ぼしてきました。
独裁国家である北朝鮮はこれまで核実験やミサイル発射など国際法に違反した数々の行為を繰り広げてきましたが、そもそもなぜ北朝鮮はこれほどまでに軍事国家としてふるまうことになったのでしょうか?
ここでは北朝鮮が軍事国家として生きることになった背景を解説します。

朝鮮戦争

北朝鮮の国としての歴史は朝鮮戦争に遡ります。第二次世界大戦後、朝鮮半島の北側を社会主義陣営のソ連が統治し、南側を資本主義陣営のアメリカが統治していたなかで、朝鮮半島の北側対南側で戦争が起こります。
1953年、板門店で北緯38度線を境界として停戦協定が結ばれ、緊張状態が緩和し、北緯38度より南と北の双方で独自の国づくりが始まります。

孤立していく北朝鮮

北朝鮮はソ連に支援され、社会主義陣営の一員となりました。しかし、その後社会主義陣営側の大国である中国とソ連がその思想の違いから仲違いするようになります。
その際、北朝鮮は中国を選び親中路線へとシフトしますが、その中国ともその思想の違いから、関係が悪化します。
北朝鮮は翻って再びソ連に接近しますが、一度見限られたソ連も報復として以前とは異なり、厳しい対応をおこない、ごくわずかな援助額で北朝鮮を支援することになります。
そのため、北朝鮮国内の計画経済が行き詰まっていくようになり、徐々に自らまかなえるように国を発展させようと独自路線を進んでいきます。

軍備増強に走る北朝鮮

自国の急速に発展させ、自立した国になることが急務となった北朝鮮は、まず軍事の増強に踏み切ります。
北朝鮮は国際的にも孤立しており、また隣国韓国はアメリカや日本の支援を得て経済的に急激な成長を遂げていくなか、危機感を覚え始めます。
そこで、大国と対等に張り合える状況を作り出すために急激な軍備増強に走ることになりました。その後、国力増強のためにロケットや核開発をして軍備拡大を続けています。
このようにして、北朝鮮は核実験やロケット発射をおこなう、軍事国家として国際社会の注目を集めることとなりました。
実際に核というカードを各国との交渉のテーブルに出してある程度の譲歩を引き出しているように、ある程度この軍備増強は成功をおさめているかもしれません。

知っておくべき国際問題②:アメリカ~トランプ政治、3つの切り口から振り返ってみた~

アメリカ
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2016年11月8日、共和党のトランプ氏が大統領選でヒラリー・クリントン元国務長官を破って当選し、第45代アメリカ合衆国大統領となりました。
これまで不動産会社やカジノ会社などを運営しておりテレビ番組の司会者もするほど有名な実業家であったトランプ氏が大国アメリカの大統領になるという知らせは世界中を驚かせました。
彼は大統領になって以降、これまでのアメリカとは異なる政治をおこなっています。
ここでは、これまでのトランプ政治を経済面、外交面、政治面という3つの切り口から振り返りたいと思います。

これまでのトランプ大統領の政策
時期 出来事

2017年1月

TPP離脱表明、イスラム教徒が多数を占める7カ国の国家の入国禁止

2017年6月

パリ協定離脱表明

2017年9月

法人税20%へ引き下げ

2017年10月

ユネスコ脱退

2017年12月

エルサレムをイスラエルの首都と宣言

2018年3月

輸入制裁関税の発表

2018年6月

北朝鮮との首脳会談開催

2018年8月

NAFTA再交渉

経済面

トランプ大統領は経済的な政策に関して、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)からの離脱NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉など、多国間での協定をことごとく離脱・破棄しています。
これまで培われた自由貿易とは逆に、2国間での交渉に持ち込んでアメリカの優位な条約を結ぼうとしており、ビジネスマンらしくアメリカのみの利益を上げようとする姿勢が伺えるような政策展開をしています。
また、法人税を20%に引き下げてアメリカ国内の企業を活性化させ、アメリカ経済をさらに発展させるための仕組みづくりもおこなっています。
これまで、自由貿易市場においてその中心にたち、世界経済全体を引っ張っていたアメリカから、「アメリカ・ファースト」を意図した政策、つまりアメリカ中心の保護主義へと転換しており、トランプ大統領の公約通りの政策がおこなわれています。

外交面

メキシコとの国境に壁を建設すると言ったり、エルサレムをイスラエルの首都と宣言したりするなど、トランプ大統領の外交戦略はこれまでのアメリカとは少し異なります。
これまではさまざまな国における国家間問題に介入し、その解決を図るべく「世界の警察」的役割を発揮していましたが、トランプ大統領は、その役割を放棄し、自国の利益を最大化させるための外交戦略を展開しています。
一方で、罵詈雑言の応酬だった北朝鮮との会談を開催し、非核化の約束まで結んでいるため、ある程度の成果は出しています。
ただ、これまでアメリカが担っていた「世界の警察」としての役割を徐々に捨てようとしている姿勢が現れる政策展開であり、その点でも「アメリカ・ファースト」の公約はある程度実現できているでしょう。

トランプ大統領の疑惑

トランプ大統領は当選時から、ロシアからの関与が騒がれており、その懸念は今でも払拭されていません。
ロシア側が大統領選挙を妨害しただとか、トランプ大統領がロシアとの密約を結んでいるだとか、ロシアとトランプ大統領陣営との裏工作の噂が後を絶ちません。こうした一連の疑惑を「ロシアゲート」といいます。
ただプーチン大統領を含めたロシア陣営とアメリカの関係に関しては、いまだになんの情報も明かされておらず、真偽は不明なままです。

知っておくべき国際問題③:イギリスのEU離脱~今後イギリスはどうなる?~

イギリスのEU離脱
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2016年6月23日におこなわれたイギリスのEU離脱可否を問う国民投票、その結果は世界中の人々を驚かせました。
2018年9月時点では、あと半年ほどでイギリスはEUから離脱する予定ですが、まだまだEUとのFTA協議や離脱協定など、今後のEUとイギリスの関係は不明瞭なままです。
果たしてイギリスとEUはこれからどのような関係を構築するのでしょうか?

イギリス離脱までのスケジュール
時期 出来事

2016年6月23日

国民投票可決 離脱決定

2016年7月13日

キャメロン元首相に代わり、メイ首相が就任

2017年3月29日

メイ首相が正式にEU離脱通告

未定

FTA協議

未定

離脱協定

未定

今後の方針策定

2019年3月29日

イギリス、EUより離脱

2020年12月末

移行期間終了

Brexit

2016年6月23日、EU離脱を問うイギリスの国民投票の結果が発表され、離脱票が52%、残留票が48%で離脱が決定しました。
このうち離脱票を投じた人の多くは年配の人や田舎に住む人、もしくは右派の人たちでした。
彼らの多くは「加盟国間の格差」に不満を嘆いており、イギリスがEUにいる意味がないと感じていたため離脱票に投じました。
特に、高賃金を求めてEU域内から来る移民によってイギリスの社会保障費が圧迫されていることに対する不満や、難民に対する安全面での懸念、移民の流入によるイギリス国民の失業数増加などが離脱派意見として多くありました。
そしてこのような不満をうまくすくい上げた元ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏らが勝利を収めました。

離脱までのロードマップ

国民投票での離脱決定を経て、イギリスは本格的にEU離脱への道のりを歩み始めました。
メイ首相のもと、2019年3月に離脱する旨を発表して以降は、少しずつ離脱のための準備がなされています。約半年後にはイギリスはEUではなくなりますが、離脱までに決めておくべきことはまだまだ山積みです。
離脱後のEUとの関係やFTAについても協議する必要があります。
イギリスがEUを離脱して以降の世界経済、国際政治に悪影響を与えないようなスムーズな移行のためのインフラ整備が急速に求められます。

離脱後のイギリスとEUの関係

イギリスはEUを離脱したからといって完全にEUと縁を切るわけではありません。
今後もよきパートナーとして良い関係を築いていく必要があります。
では、イギリスが実際にEUを離脱して以降、イギリスとEUとの関係はどのようになるのでしょうか?
ここでは、他国とEUの関係を参考にしながらイギリスが今後取りうる選択肢を紹介します。

ノルウェーモデル

EU非加盟国のノルウェーは、EUとの自由貿易体制を確立するために、EFTA(欧州自由貿易連合)とEEA(欧州経済領域)には加盟しています。
この関係性では EUによるさまざまな干渉や、他のEU国との関係性に悩まされることは少なくなるとともに、EUという大きな市場へのアクセスを確保することが可能です。
ただ、この関係性は石油という資源をもったノルウェーだからこそEUとの交渉の結果なしえた関係性であり、EUとしてもノルウェーを手放したくなかったという背景があったからこそこの関係性ができました。
したがって、イギリスがこのノルウェー・モデルと同じ関係性を構築できるかどうかはわかりません。

スイスモデル

多国間協定には参加せず、EUと2国間協定を結ぶことでEUへのアクセスを手に入れるというものがこのスイスモデルです。
手続きは煩雑になるものの自国に合った条約を結ぶことができるため、より自国の利益を確保するための条約を結ぶことが可能になります。
一方で、自国に合った条約を分野ごとに締結することになるため、交渉の長期化と複雑化が危惧されます。EUに加盟していないスイスはこの形をとっており、ノルウェーモデルに続く選択肢としてこのスイスモデルが挙げられます。
しかし、離脱まで約半年となった今、イギリスに交渉のための時間は残されているのでしょうか。

第3の選択肢

上記2つ以外にもさまざまな方法は考えられます。
EUと新たな条約を締結したり、EU加盟国各国と個別に条約を結んだり、さまざまな選択肢がイギリスには残されています。

ただ共通していえることは、イギリスとしてもEU市場へのアクセスを放棄するような行為はとらないだろうという点です。
いずれにせよ、イギリスのEU離脱の影響は日本とも無関係ではありません。
主要基軸通貨ポンドの価値下落、英国への輸出減少など、日系企業にも多大な影響が及びます。
これから半年間、EUが離脱に向けてどういった動きをするのか注目しておくべきでしょう。

知っておくべき国際問題④:中国~世界を賑わせる2つの対外問題~

中国
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習近平体制のもと、経済的に大きな成長を遂げている中国は近年、世界における影響力をかなり拡大させています。
これまでの国際秩序を大きく塗り替えようとしている中国が世界を賑わせている国際問題を再整理します。

米中貿易戦争

米中貿易戦争のこれまで
時期 出来事

2016年10月

大統領選にてトランプ大統領が中国との貿易不均衡を問題視

2018年1月

中国の対米貿易黒字が過去最高を記録

2018年3月

アメリカが安全保障を理由に鉄鋼・アルミ輸入制限を発動

2018年4月

中国が報復関税を発動

2018年5月

米中閣僚会議にて「追加関税の保留」を双方合意

2018年7月

アメリカが中国に対して追加関税を発動、対して中国も報復関税を発動

2018年8月

アメリカ、中国双方が2回目の関税措置を発動

2018年9月

アメリカ、中国双方が3回目の関税措置を発動

近年、激化している米中の貿易戦争は、中国を理解する上で避けては通れない対外問題の1つです。
そもそもトランプ大統領は、彼が当選することになった2016年のアメリカ合衆国大統領選挙の期間中に、中国とアメリカとの貿易不均衡を問題視していました。
大統領として就任直後は、アメリカの対中貿易赤字を解消すべく対話による解決を画策していましたが、2018年に入り突如強硬路線を取り始めるようになります。

アメリカが中国製品に対して、輸入制限をかけたり追加関税をかけて不当な扱いをするやいなや、中国は仕返しとしてアメリカ製品に対して報復関税をかけ、アメリカ製品を不当に扱うという状態が繰り返されているのが今の状況です。
双方は関税をかけあう殴り合いを繰り返しており、この闘争が貿易戦争といわれています。
つい先日も、アメリカが中国に対して2000億ドルに及ぶ大規模な第三弾追加関税を発動するやいなや、中国は対抗して600億ドルに及ぶ報復関税をかけることを発表しました。
今後はこの戦いが何らかのかたちで収束するのか、はたまたさらに過激化するのか、この2国がどのような貿易戦略を展開するのか注目です。

一帯一路構想

中国の習近平総書記が2014年に発表した一帯一路構想は、近年中国が影響力を行使する上で重要な役割を占めています。
一帯一路における「一帯」とは、ヨーロッパから中央アジアを経由して中国西部につながる「シルクロード経済ベルト」のことを指します。
また「一路」とはアフリカ東岸からアラビア半島の沿岸部、スリランカ、東南アジア、アラビア半島の沿岸部を結んで中国の沿岸部へとつながる「21世紀海上シルクロード」を指します。
この一帯一路構想とは、これらの地域に通信整備やパイプラインなどのインフラ整備をおこない、これらの地域活性化、経済的影響力増加を中国主導でおこなおうと目論んだものです。

中国はこの一帯一路構想の名の下、東ヨーロッパや東南アジアなどに進出し、国における領土・領海といった国際法で定められたルールを無視した政策を展開しています。
特に南シナ海では、本来国際法に基づいて定められた領海、排他的経済水域(EEZ)を無視して、海洋国土論を主張しています。
そして独自の海洋範囲を策定し、その範囲内で影響力を行使しています。
ただ一方で、発展途上国の発展に寄与している一面もあり、必ずしも反国際的な戦略ではないことが伺えます。

国際問題は必ずしも日本と無関係ではない

これらの国際問題は、日本にとって対岸の火事ではなく、大きな影響を及ぼします。
北朝鮮問題は、日本の国防に影響し、米中貿易戦争は間接的に日本の貿易戦略、ひいては企業の対外投資に影響を及ぼします。
日々仕事に取り組むうえで、これらのような国際問題が自分の仕事に関係することもあるかもしれません。

難しく思われがちな国際問題ですが、このように読み解いてみると国際社会全体の流れが見えてくると思います。
国際ニュースにも苦手意識を持たずに、日々情報をキャッチアップしていきましょう。

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