CRM「SAP Customer Experience」とは?機能・料金・評判を紹介!

成長促進や収益拡大を目指すには、顧客のインサイトを把握し、適切に購買行動を促すことが大切です。SAP社が提供する「SAP Customer Experience」は、顧客データの収集や分析に長け、顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供できます。
この記事では、CRMサービスの導入を検討されている企業に向けて、SAP Customer Experienceの特徴や機能、料金などを解説します。

SAP Customer Experienceとは

SAP Customer Experience
HPより

SAP Customer Experience(SAP C/4 HANA)は、ヨーロッパ最大級のシステムベンダーであるSAP社が提供しているCRMサービスです。2018年7月25日にSAP Hybrisからアップデートされ、大幅な機能追加のうえでリリースされました。

SAP社は基幹業務システム(ERP)のトップシェアを誇る企業で、CRMサービスであるSAP Customer Experienceは、ERPサービスのSAP S/4HANAをバックエンドとして動いています。そのため、自社製品だけでCRMとERPをスムーズに連携でき、CRMの顧客データと、在庫管理や入出庫管理、生産管理といったERPの業務データを結びつけることができます。

また、SAP Customer Experienceだけで、それぞれの分野に特化したSales Cloud、Marketing Cloud、Service Cloud、Commerce Cloud、Customer Data Cloudの5つのアプリケーションを利用でき、見込み顧客の獲得から優良顧客の育成までの全てのマーケティングプロセスを効率化できます。

SAP Customer Experienceの特徴|ポイントを押さえて解説

ほかのCRMサービスと比較して、SAP Customer Experienceにはどんな特徴があるのでしょうか。ここでは、SAP Customer Experienceの魅力を3つ解説します。

1.パーソナライズ化された顧客体験を実現

SAP Customer Experienceは、膨大な顧客データを分析し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた顧客体験を提供できるCRMサービスです。

見込み顧客をロイヤルティの高い優良顧客に転換するためには、顧客を動かす目に見えないインサイトを把握し、具体的な購買行動につなげる必要があります。SAP Customer Experienceは、顧客データをリアルタイムに活用する顧客分析と、顧客の将来の購買行動を分析する予測分析の2つの機能によって、顧客への洞察をさまざまな角度から深め、顧客一人ひとりからのエンゲージメントを強化できます。

2.1つのプラットフォームでデータを一元管理

SAP Customer Experienceは、すべての顧客データを1つのプラットフォームで一元管理できます。eコマース、セールス、カスタマーサービス、ソーシャルメディア管理など、さまざまな部門や業務で発生する顧客データをスムーズに連携し、社内全体で共有できます。

また、バックエンドのSAP S/4HANAを活用し、顧客データと業務データを組み合わせることも可能です。
豊富なデータを活用することで、多角的な経営判断や、スピーディーな戦略立案が実現します。新たにデータベースシステムを導入する必要がなく、コスト削減にもつながります。

3.SAP Business Technology Platformとの連携

SAP Customer Experienceは、SAP社が提供するビジネス統合プラットフォームのSAP Business Technology Platformと連携し、企業の事業価値をさらに高めることができます。

SAP Business Technology Platformは、同社が提唱する「インテリジェントエンタープライズ」の考えに基づき、他社製品とも連携しつつ、データ資産を活かすための強固なビジネス基盤を築くツールです。

SAP Business Technology Platformは、オンプレミスやクラウドの垣根を越えてデータを連携させる機能や、アプリケーション開発機能によって、あらゆる場所のデータを統合管理するデータプラットフォームの構築をサポートします。

SAP Customer Experienceの機能や使い方

SAP Customer Experienceには、5つのアプリケーションが存在します。ここでは、それぞれのアプリケーションの機能や使い方を解説します。

1.SAP Sales Cloud|販売プロセスの自動化で売上向上に貢献

SAP Sales Cloudは、販売プロセスを自動化し、売上向上に貢献できるアプリケーションです。SAP Sales Cloudには、次の3つの機能があります。

セールスオートメーション

営業活動のデジタル化を進め、顧客情報や営業コストを見える化し、成約率を向上させる

販売実績管理

精度の高い販売実績の分析に基づき、スピーディーな戦略立案を実現する

見積作成

見積り作成を合理化し、取引スピードを上げる

これらの機能により、顧客とのつながりを深め、成約率の向上や販売プロセスのスピードアップを実現したい場合に役立てることができます。

2.SAP Marketing Cloud|収益を適切に管理

SAP Marketing Cloudは、顧客の行動を把握し、顧客一人ひとりに最適化された顧客体験を提供できるアプリケーションです。
SAP Marketing Cloudには、さまざまな部署や業務の顧客データを1つに集約し、顧客プロファイルを作成する機能があります。作成した顧客プロファイルに基づき、顧客の欲求や行動といった根拠に基づくマーケティング戦略を仕掛けることで、成長促進や収益拡大につながります。
顧客のプロファイリングや、データに基づくマーケティング計画やキャンペーン計画を組み立てたい企業に向いているツールです。

3.SAP Sevice Cloud|顧客に近い現場のサービスエクスペリエンスを改善

SAP Sevice Cloudは、カスタマーサービスの質を高め、ロイヤルティの高い優良顧客を生み出すためのアプリケーションです。SAP Sevice Cloudには、電話、メール、ソーシャルメディア(SNS)、チャットボットなどのさまざまなコミュニケーション手段を1つの管理画面で運用できる「オムニチャネルサービス」があります。

顧客からの問い合わせの際に顧客情報をポップアップする機能や、顧客からの入電を最適な担当者につなぐ「インテリジェントルーティング」により、現場のサービス体験を改善し、顧客満足度を高められます。

また、クロスセルとアップセルの最適なタイミングを分析する「エージェントデスクトップ」によって、顧客単価を高め、事業収入を拡大することも可能です。

4.SAP Commerce Cloud|顧客に最適な体験を

SAP Commerce Cloudは、eコマースを最適化するためのアプリケーションで、Gガートナー社の「Magic Quadrant for Digital Commerce 2020」で、高く評価されました。消費者へ直接商品やサービスを販売するBtoC、企業間で取引をおこなうBtoB、他社のBtoC事業をサポートするBtoBtoCなど、さまざまな販売形態に対応し、顧客に最適なエクスペリエンスを提供できます。

また、旅行、メディア、金融サービス、官公庁など、さまざまな業種に役立つ固有の機能も搭載されており、業種や業界を選ばず活用できるのがSAP Commerce Cloudの強みです。

5.SAP Customer Data Cloud|顧客データからインサイトを収集

SAP Customer Data Cloudは、顧客データを統合管理し、SAP Marketing CloudやSAP Sevice Cloudなど、ほかのアプリケーションのベースとなる機能です。SAP Customer Data Cloudがあれば、ECサイトへのアクセスやリアル店舗への訪問など、さまざまな顧客接点から得られた顧客データを収集し、顧客のインサイトを収集できます。

個人情報の収集および利用の際、事前に顧客の同意やオプトアウト(※1)の意思を確認できるため、顧客の信頼を失う心配がありません。顧客データを活用する基盤がない企業は、まずSAP Customer Data Cloudを導入しましょう。

※1:メールマガジンなどの宣伝広告をユーザーが拒否すること。

SAP Customer Experienceの価格

SAP Customer Experienceを構成する5つのアプリケーションは、いずれも無料トライアルが用意されていて、30日間無償で利用することができます。

無料トライアルが終了した後は、予算や利用人数に合わせ、各プランを選ぶ必要があります。いずれも利用料金は問い合わせる必要がありますが、SAP Commerce CloudにはStandard editionとProfessional edition、SAP Marketing Cloudの場合はさらにEnterprise editionと、複数の価格オプションが用意されています。

導入を検討されている方は、SAP Customer Experienceのホームページから見積りをリクエストしましょう。

SAP Customer Experienceの評判

導入の際に気になるのが、SAP Customer Experienceの評判です。
ここでは、SAP Customer Experienceの活用事例を3つ紹介し、導入効果を解説します。

eコマースの基盤を強化|Frucor Suntory社

Frucor Suntory社は、50年以上の業歴がある老舗飲料メーカーで、オーストラリアとニュージーランドの両地域で飲料品販売を行っています。同社はSAP Customer Experienceを導入し、eコマースの基盤を強化した結果、3,000社以上の顧客が24時間365日商品をオンライン購入できるプラットフォームの構築に成功しました。

また、SAP Sales CloudとSAP Commerce Cloudを組み合わせ、受注から入金までの販売プロセスの効率化を実現しました。

参考:Frucor Suntory – オンラインでの飲料品販売によって成長を促進し、1 対1 のカスタマーエクスペリエンスを向上させる

アフターサービスの高度化を実現|川崎重工業社

船舶海洋・車両など、幅広く事業を展開している川崎重工業社では、CRMの情報とIoT/M2MデータをSAPのシステムによって分析し、不具合の洗い出しに活用しました。

設計部門・サービス部門へ適切なフィードバックを行うことで、製品自体の高度化に役立てており、保守サービスや苦情対応、アフターサービスなどの質の向上を実現しています。

参考:顧客事例|川崎重工業株式会社様

キャンペーンの実行を1カ月から1時間に短縮|Robert Bosch社

世界60カ国に消費財や工業機械を展開するRobert Bosch社は、SAP Customer Experienceを導入し、セールス部門とマーケティング部門の業務を効率化させることに成功しました。

とくにSAP Marketing Cloudの導入で、従来はキャンペーンの実行に約30日かかっていたところ、わずか1時間に実行時間を短縮させることができました。顧客をセグメントに分け、適切なアプローチを仕掛けることで、顧客単価の向上にも成功しています。

参考:Robert Bosch – 従来のプロセスに風穴を開け、カスタマーエクスペリエンスを改善

SAP Customer Experienceを導入してマーケティング活動を成功させよう!

ここまで、SAP Customer Experienceを構成する5つのアプリケーションの機能や、利用料金について解説しました。SAP Customer Experienceを導入すれば、膨大な顧客データから顧客のインサイトを発見し、顧客一人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供できます。

CRMサービスを導入するときは、複数の製品を比較することが大切です。あらかじめ経営課題を分析したうえで、自社に合うサービスを選びましょう。

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