経済指標の見方解説!初心者でも覚えておきたい9つの経済指標

GDP、消費者物価指数、日経平均株価・・・
ニュースや新聞を見ているとこんな用語をよく目にしませんか?
これらは、経済の状態を目に見えるように数値で表した経済指標です。
経済指標が何を示すための数値なのかしっかり理解しておけば、ニュースや新聞をより深く理解することができるようになります。
ここでは、よく目にする経済指標を初心者でもわかるように紹介していきます。

経済指標とは

経済指標とは、経済の状況や経済を構成する要因を数値化したものです。
一般的に、各国の公共機関などが統計をおこないデータを公表しています。

私たちは自分の体調を把握しようとするとき、体温や血圧、血糖値などの数値を参考にします。
それと同様に、経済指標の見方を知っておけば、経済の状況や動向の把握や見通しをたてることができるのです。
ここでは、ニュースや新聞でよく目にする経済指標の意味とその見方について紹介していきます。

国の動向を示す経済指標とその見方:GDP(国内総生産)

GDP(国内総生産)は各国の経済活動の大きさを測る指標として最も有名な指標です。
一般的に、ある国で一定期間に新しく生産されたモノやサービスの付加価値の合計と定義されます。
日本では、内閣府が四半期毎に公表をおこなっており、海外でも政府によって統計されていることが多いです。
では、具体的にどのようにこの経済指標をみていけばいいのでしょうか。

GDPの見方①:名目値と実質値では異なる

一口にGDPといっても、名目GDPと実質GDPがあります。
この名目値と実質値という概念はGDPに限らず、数値を見ていく上で留意すべき違いなので理解しておきましょう。

名目値と実質値の違いは物価変動(インフレ・デフレ)の影響を考慮しているかどうかです。
つまり以下のようになります。

名目GDP:実際に市場で取引されている価格に基づいて計測されたもの。
実質GDP:名目GDPから物価水準の変動を影響を取り除いて計測されたもの。

例えば、2000年に100円のりんごが10個売れたとします。
そうすると、2000年の名目GDPは1,000円ということになります。
ここで、次の年の2001年でもりんごは昨年と同様に10個売れたものの、物価の上昇の影響でりんごが110円に値上がりしたとします。

この時、名目GDPは1,000円から1,100円に上昇し、一見取引が増えたように見えます。
しかし、基準年を2000年として実質GDPを計算すると、1,000円(基準年のりんごの値段)×10(2001年に売れたりんごの個数)=1,000円となり変化していません。
この価格の上昇は物価変動によるものなのです。
このように、実質GDPのほうがより実態の経済を反映した指標であるといえます。

名目GDPと実質GDP
トルテオ編集部

GDPの見方②:過去と比較する場合の見方

経済の成長をとらえる場合、実質GDPをみるほうがよいでしょう。
名目GDPが去年よりものすごく伸びていても、その原因がインフレによる場合、実質GDPは変化しません。
このように、価格変動の影響を受けない実質GDPは経済が実際どれくらい成長したのかを見ることに適しています。

また、GDPが前年比でどれだけ成長したかを示す経済成長率という経済指標もあります。
経済成長率は以下のように計算できます。

経済成長率(%)=(今年のGDP-去年のGDP)÷去年のGDP×100

※名目GDPを用いて計算されたものを名目経済成長率、実質GDPを用いたものを実質経済成長率という。

この経済成長率が高いということは、その国の経済が速いスピードで拡大しているかということを示します。
具体的に、日本の2017年の実質経済成長率は1.9%でした。
しかし、1950年~1970年の間の神武景気、岩戸景気、いざなぎ景気の期間では平均10%以上もの経済成長をしていました。
この期間は高度経済成長期と呼ばれていますが、この成長率の高さこそ高度経済成長と呼ばれる由縁なのです。

GDPの見方③:国同士で経済規模を比較する場合の見方

国同士でその経済規模を比較する場合、名目GDPが用いられることが多いです。
それは、名目GDPの市場の価格をそのまま反映しているという性質から、実感に近い経済規模を直感的に理解できるからです。

国同士の名目GDPを比べることによって、A国はB国に比べて経済規模が大きい国なのか小さい国なのかということを直感的に把握することができるのです。
また、経済規模の大きい国は世界経済での影響力が強く、経済取引の主導権を握っていきます。

ここでは、国際比較では名目GDP、年次比較では実質GDPをおすすめしましたが、いつでもそれがよいというわけではありません。
慣れてきたらデータを使用する意図を考慮して、参照するデータを考えるようにしましょう。

GDPに付随して覚えておきたい経済指標

ここからは、GDPに付随して覚えておくとよい経済指標を紹介します。

GDI(国内総所得)とGDE(国内総支出)

GDI(国内総所得)とはGDPを分配面からみたもので、一定期間に国内で支払われた賃金や利潤、配当の合計です。
ほかにも、GDPを支出面からみたGDE(国内総支出)があります。
GDEは一定期間でモノやサービスを購入するために支出された国内所得金額の合計です。

GDPとGDI、GDEには三面等価の原則が成り立っています。
三面等価の原則とは、生産からみても、分配からみても、支出からみても同じ金額になることをいいます。
金額は釣り合いますが内訳が異なるので目的に応じてデータを使い分けることができます。

三面等価の原則(GDP-GDI-GDE)
トルテオ編集部

NDP(国内純生産)

NDP(国内純生産)はGDPから固定資本減耗を除いたものです。
固定資本減耗とは固定資本の価値を使用年数で割ったものです。

例えば、10年間使える300万円の機械があったとします。
この機械が固定資本にあたります。
機械の価値は300万円、使用年数は10年なので1年あたりの価値は30万円です。

このように、期間をまたいで使用できるものを1年で1年あたりの価値づつ消費するという考え方が固定資本減耗です。
そのため、固定資本減耗は新しく生産された生産物ではありません。
NDPではこの固定資本減耗の部分を除いているため、純粋にその年に新しく生産された付加価値を見るのに適しています。

 

消費の動向を示す経済指標とその見方:消費者物価指数

まず、物価指数とはある時の物価を100とした時に、物価がそれよりもどれだけ高いか低いかを数値化したものです。
例えば、みかん1箱の価格が1,000円の時の物価を基準として、この時の物価を100とします。
このみかん1箱が次の年に1,100円に値上がりしたとすると、物価指数は110ということになります。

物価指数の代表的なものとしては、消費者物価指数と企業物価指数などがあります。
なかでも消費者物価指数とは、消費者が日常で消費する全ての商品とサービスの価格の動きを時系列で表したものです。
全ての商品とサービスを含むので、先ほどのみかんの例のように1つのモノについて物価指数をみているのとは少し違います。

イメージとしてはまず、食費や光熱費、住居費など日常に必要なものをひとつのバスケットに入れて買うことを想定します。
基準年と同じバスケットの中身を別の年に買う場合に、より多くお金がかかるのか、それとも安く済むのかを示しています。

消費者物価指数は、5年ごとに基準年や指数に組み込まれる商品・サービスを変えており、新しい商品・サービスの出現や消費者の嗜好の変化にも対応しています。
日本では、総務省統計局によって毎月発表されています。

消費者物価指数
トルテオ編集部

消費者物価指数の見方①:消費者物価指標が「上昇する」「下落する」

消費者物価指数の変動はインフレやデフレを議論する時にもっとも重視される経済指標です。
経済が活発に動いている時、一般的に需要は増加すると考えられます。
この時、供給者側が商品やサービスの価格を少し上げても消費者は購入をします。

そのため、消費者物価指数が上昇しているという場合は、経済が拡大しており、インフレの傾向があることを読み取ることができます。
反対に、消費者物価指数が下落しているという場合は、経済は縮小しており、供給者側が価格を下げてもモノが売れないデフレの傾向があるということがわかります。

消費者物価指数の見方②:消費者物価指数を見る時の注意点

消費者物価指数を見る上で注意しておく点を2点紹介します。
1つ目は、消費者物価指数にはいくつか種類があるということです。
例えば、代表的なものとして以下のようなものがあります。

種類 内容

総合指数

通常の消費者物価指数。全ての消費財を対象としています。

生鮮食品を除く総合指数(コア指数)

生鮮食品は天候によって激しく価格が変動するため、時系列で価格動向の状況を見る場合は外したほうがその本質を捉えることができるという考え方があります。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコア指数)

海外が要因で価格が変動する原油価格の影響を受けやすいエネルギーの部門も外した生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数が用いられることもあります。

そのため、消費者物価指数を利用したり見たりする際は、その定義に留意する必要があります。

そして、もう1つは、税制や社会保障制度などの制度の変化によって影響を受ける場合があるということです。
例えば、消費者物価指数は消費税分を含めた、消費者が実際に支払う価格を用いて作成されているので、消費税の増税などの影響なども受けます。
物価指数の変動はインフレやデフレの議論に用いることができますが制度の影響を受けていないかについても留意する必要があります。

消費の動向を示す経済指標とその見方:小売売上高(アメリカ)

小売業の売上高の統計は、消費者が直接消費する小売業者の売上高をまとめた指標で、販売側からその国の消費動向を見極めることができる重要な経済指標です。

特に、アメリカの小売売上高は注目されます。
なぜなら、アメリカは経済規模を示すGDPは世界で最も大きく、GDP全体の7割を個人消費が占めているからです。
小売売上高はアメリカ商務省経済分析局(BEA)によって月次で公表されています。

小売売上高の見方①:小売売上高が「上昇する」「下落する」

小売売上高はその金額自体よりも前期に比べて上昇したのか、下落したのかをみると良いでしょう。
なぜなら、小売売上高は個人の消費活動がそのまま反映されているからです。

小売売上高が上昇した場合、それぞれの人がたくさんモノを買っている状態なので景気は拡大しておりインフレ傾向であるといえます。
小売売上高が下落した場合、それぞれの人があまりモノを買わなくなっている状態なので景気は縮小しておりデフレ傾向であるといえます。

小売売上高の見方②:日本における小売業の売上高統計

日本でもGDP全体の5割以上を個人消費が占めており、小売業の売上高の動向は日本の経済の動向を知るうえで参考にできる指標です。
日本では、経済産業省による商業動態統計の小売業販売額がこれにあたります。
小売業販売額にはさらに業種別や業態別に分類されたものがあり、それぞれ全国、経済産業局別、都道府県別に集計されているので、必要に応じて参照するデータを使い分けることができます。

金融・市場の動向を示す経済指標とその見方:日経平均株価(日経225)

日経平均株価は日本の代表的な株価指数のひとつで、「日経225」とも言われます。
日本経済新聞社が東証一部に上場している企業から独自に225銘柄を選出し、その平均の株価を算出しています。

採用される銘柄は、業種に偏りがでないように、36業種を技術、金融、消費、素材、資本財・その他、運輸・公共の6つのセクターに分け、その構成する銘柄数が均衡するように選出されています。
また、採用銘柄は定期的に見直され、倒産企業は必要に応じて除外し、成長企業は必要に応じて包含されていきます。

日経平均株価は、民間で作成されている経済指標ですが、政府の経済統計としても使われている指標です。
日経平均の見方は、次の章で紹介していきます。

金融・市場の動向を示す経済指標とその見方:TOPIX(東証株価指数)

TOPIX(東証株価指数)は「Tokyo Stock IndeX」の略で、日経平均株価と同様に日本の代表的な株価指数のひとつです。
東証一部上場の全銘柄を対象に、東京証券取引所が算出と公表をおこなっています。
TOPIXは、基準日の1968年1月4日の時価総額を100とし、観測時の時価総額を相対的に指数化したものです。
指数は、東証一部に上場しているすべての企業の時価総額の合計額を基準時の時価総額で割ることで求められます。

株価指数の見方①:株価を見る時の基本用語

日経平均株価チャート
指数情報 – 日経プロフィル

ニュースを見ていると株価のニュースとともに東京証券取引所のメインモニターが映し出されることがしばしばあります。
このメインモニターには、日経平均株価やTOPIXの情報が書かれています。
そこには上から、現在値、前日比、始値・・・とあり、その横に数値が書かれています。
また、新聞の株価欄を見てもこのような用語が株価の情報とともに書かれています。

まずは、この数値の意味について紹介していきます。これらの用語は日経平均やTOPIXだけでなく、個別の株価を見る際などにも活用できます

現在値

最新の株価のことを指します。
日経平均株価は5秒間隔、TOPIXは1秒間隔で最新のものが算出され表示されます。
個別の株価の現在値は直近で成立した株式取引の株価が表示されます。

始値

その日の取引が始まった時点(午前9時)での株価が表示されています。
個別の株価ではその日の一番最初に成立した株式取引の株価が表示されます。

終値

その日の取引が終わった時点(午後3時)での株価が表示されます。
個別の株価ではその日の一番最後に成立した株式取引の株価が表示されます。

高値

その日の取引の中で最も高くなった時点の株価です。

安値

その日の取引の中で最も安くなった時点の株価です。

前日比

前日の終値とその時の株価を比較したものです。
新聞で目にする前日比は前日の終値と当日の終値を比較していることが多いです。

株価指数の見方②:日経平均株価、TOPIXの変動と景気動向

日経平均株価やTOPIXなどの株価指数は景気動向指数のなかでも景気の先行指数であるといわれています。
先行指数とは、景気の浮き沈みに先駆けて数値が上下する指数のことをいいます。
株価指数は、好景気に先駆けて上がり、不景気に先駆けて下がるという動きをみせる性質があります。

また、好景気になるとモノが売れるようになり、企業の業績が上がるので株価はさらに上がるという循環をします。
反対に、景気の成長が上限に達し、不景気へと移行すると、今度はモノが売れなくなり企業の業績が悪くなるので株価は下落するという循環をするようになります。

株価指数の見方③:日経平均株価とTOPIXの違い

日経平均株価とTOPIXは、両者とも日本の株式市場の動向を総合的にみようとした指標であるため、似たような動きをしますが、取り扱うデータと算出方式が異なるので数値に乖離が見られることがあります。
実際に両者の違いを表にまとめてみました。

日経平均株価 TOPIX

対象

東証一部上場企業のうちの225銘柄

東証一部上場の全ての企業

算出方法

225社の株価の合計÷除数

現在の時価総額÷基準年の時価総額×100

数値の特性

価格(単位:円)

指数(単位:ポイント)

特徴

  • 単位が円のため直感的に理解しやすい。
  • ハイテク外需株の影響が大きいため、外部環境の影響をいち早く捉えることができる。
  • 株価の高い企業(値嵩株)の影響を受けやすい。
  • 東証一部に上場しているすべての企業を反映しており、経済全体の動きを把握できる。
  • 銀行など内需の影響を受けるので、国内 の景気を捉えることに向いている。
  • 時価総額の大きい企業の影響を受けやすい。

それぞれの特性から、日経平均株価は日本の代表的な企業の状態を、TOPIXは日本経済全体の景気を理解するのにより適しているといえます。
また、日経平均株価は外需株、TOPIXは内需株の影響を受けやすい傾向があるので、その点で見るデータを選んでも良いかもしれません。
また、両方の特性を理解してあわせてみることができるようになると、経済を立体的にみることが可能になっていきます。

金融・市場の動向を示す経済指標とその見方:為替レート

為替レートとは、異なる国同士が通貨を交換するときの交換比率のことです。

例えばアメリカ産の1ドルのみかんを日本が輸入する場合を考えます。
料金を支払う時に、ドルを保有していればそのまま支払うことができますが、ドルを保有していない場合は日本円をドルに交換してから支払う必要があります。
この時、1ドルといくらの円が交換できるのか決めなければなりません。
この交換比率が為替レートにあたります。

為替レートの見方①:固定相場と変動相場

為替レート(為替相場)には、大きく2種類に分類できます。
政府や行政の介入によって交換比率を一定の水準に固定したまま維持する固定相場市場の需給均衡に任せて変動する変動相場があります。

固定相場では、決まった値段での取引が可能なためこれから産業を安定させていこうと考える発展途上の国や輸出産業が主導の国にとって有利です。
そのため、自国の通貨が弱い発展途上国などでは変動相場と固定相場の両方の性質を持つペッグ制やバスケット制を採用している場合があります。

先進国では自由な資本移動と金融政策が可能な変動相場が採用されています。
現在ほとんどの国が変動相場を採用しています。
日本でも戦後、固定相場制度を採用していましたが、1973年に変動相場へ移行しました。

為替レートの見方②:円高と円安

円高とは、日本の通貨である円が外国の通貨に比べて価値が高まったということをいいます。

例えば今まで1ドル100円であったのが、1ドル90円へ変化したとします。
これまでは、900円で9ドルしか交換することができなかったのですが、900円で10ドルを交換することができるようになります。
これは円の価値が高くなったことを示しており、円高であるということになります。
反対に円安は、円が外国の通貨に比べて価値が低くなった場合のことをいいます。

為替レート、円安と円高
トルテオ編集部

為替レートは貿易を中心にそれぞれメリットとデメリットをもたらします。
この影響について表にまとめたので、為替レートをみる際に参考にしてください。
表では日本の通貨の円を中心としてみていますが、外貨を主観としてみる場合でも同じようにみることができます。

円高 円安

メリット

  • 安く輸入財を購入できる
  • 輸入企業は安く仕入れをすることができる
  • 輸出による収入が増加する
  • 国内で生産をする傾向が強まり、国内の雇用は増加傾向になる

デメリット

  • 輸出による収入が減少する
  • 生産拠点を海外に移す傾向が強まり、国内の雇用は減少傾向になる
  • 輸入財の購入価格が高くなる
  • 輸出企業は自社製品を海外に安く売ることができるためビジネスで有利になる

金融・市場の動向を示す経済指標とその見方:政策金利

中央銀行は、経済が安定的・長期的に成長できるように金融政策をおこないます。
日銀がおこなう金利政策には、政策金利の操作や公開市場操作などがあります。
この政策によって市場に出回るお金を調整して、物価の安定や経済の発展に影響を与えています

中央銀行は、一般の銀行にお金を貸出しており、日本ではかつてこの金利を公定歩合と呼んでいました。(現在は基準割引率および基準貸付利率と呼ばれています。)
公定歩合を引き下げることで、一般の銀行はお金を市場に貸し付けしやすくなり、市場にお金を流通させることができます。

しかし、近年ではこの金利が0に近い水準で推移しており、これ以上に下げることができない状態が続いています。
また、1994年に金利自由化が完了すると公定歩合と預金金利は連動しなくなりました。
現在では、日本銀行の当座預金残高の調整を主とした量的緩和政策が行われています。

金融政策(公定歩合操作と量的緩和政策)
トルテオ編集部

政策金利の見方①:景気と金利の「引き上げ」「引き下げ」

国によって政策金利の名称と性質は異なりますが基本的な考え方は同じです。
まず、貨幣量と物価の関係を考えます。
モノが一定の量しかない極端な経済を考えた時、お金の量が増えると、1つあたりのモノに払える貨幣の量が増えたことになるので物価は上昇します。
反対に、お金の量が減ると物価は減少します。

この仕組みを用いて、景気が過熱気味の時は、物価の上昇を抑えるために貨幣の量を減らす政策をおこないます。
中央銀行は政策金利を上昇させ、一般の銀行が以前に比べて資金を調達することが困難になるように誘導します。
資金の調達が困難になると、個人や企業に貸し出すお金も制限されるので、民間に貸し出す際の金利も引きあがります。
その結果、市場に出回るお金は減少し、物価は下がります。

反対に、景気が悪い時にはお金が出回るようにして、消費や投資にお金が回るようにしていきます。
この時、中央銀行は政策金利を下げて、一般の銀行がお金を調達しやすいようにします。
そうすると、一般の銀行はたくさんお金を個人や企業に貸すことができるようになります。
その結果、民間に貸し出す際の金利も引き下がり、お金の流通量が増加するので物価は上昇します。
まとめると、景気が過熱気味だと金利が上がり、景気が悪いと金利は下がる傾向にあるということです。

政策金利の見方②:長短金利差

金利には、長期金利短期金利があります。
長期金利はお金の借用期間が1年以上の時の金利をいい、償還期間が10年である国債の利回りが代表的なものです。
これに対して、短期金利はお金の借用期間が1年以内の金利のことをいい、日本では貸し出し期間が1日の無担保コール翌日金利などがあります。

この長期金利と短期金利の差が長期金利差です。
短期金利は金融政策の影響を受け、長期金利は市場や景気の影響を受けます。
通常は、長期金利が短期金利を上回っています。

しかし、長短金利差が縮小すると、景気の先行きが悪化するといわれています。
この長短金利差も、景気の先行指標の1つに挙げられます。

雇用・貿易の動向経済指標とその見方:完全失業率

完全失業率は労働力人口に占める完全失業者の割合を示す経済指標です。
完全失業者とは、就業をする能力と意思があり、求職活動をおこなっているのにもかかわらず、就業の機会を得られていない人口のことを指します。

日本では、雇用動向をつかむ代表的な統計である労働力調査のなかで、完全失業率が発表されています。
労働力調査では月末1週間の標本調査から労働力人口、就業者数、完全失業者などの人数を算出しています。
労働力調査は調査の翌月末に新聞で発表され、翌々月末に「労働力調査報告」に掲載されます。

完全失業率の見方①:完全失業率と景気

一般的に、景気が悪くなると企業は経費削減の一環として、必要な雇用人数を削減します。
そのため、完全失業率は上昇します。
反対に、景気がよくなると企業は事業範囲を拡大するなど雇用を増やす傾向があり、完全失業率は下落します。
このように完全失業率は企業の景気動向と連動します。

失業率と景気
トルテオ編集部

完全失業率の見方②:完全失業率と景気の関連性を見る際の注意点

完全失業率と景気動向の関連を見る際に2つの注意点があります。

1つ目は、失業者にはさまざまな境遇の人がいるということです。
企業の経営状況が悪くなったり倒産したりしたことによって失業をしたため求職をしている人もいれば、今まで働いていなかったが就業の意志が生まれて求職をしている人もいます。
景気がよくなると就業者が増えますが、新たに労働市場に参入する人口がこの就業者を上回れば完全失業率が上がることもあります。

もう1つは、完全失業率が景気動向に遅れて変化することです。
一般的に企業の景気が悪くなっても、すぐに雇用者をリストラするという企業は少ないです。
経費の削減や賃金を下げることから取り組みます。

そのため、景気が悪くなったからといってすぐに完全失業率が上がるというわけではありません。
また、景気がよくなって雇用を拡大する場合でも、事業拡大の計画を練る時間や採用活動をする時間なども必要になるので、完全失業率は景気動向の数カ月後に影響が現れるということに注意する必要があります。

雇用・貿易の動向経済指標とその見方:経常収支

一定期間内にある国の住居者と対外的におこなった経済取引を体系的に示したものが国際収支統計です。
国際収支統計はIMF(国際通貨基金)国際収支マニュアルによって統一の基準で統計がおこなわれているので国際比較がしやすいという利点があります。
日本では、財務省と日本銀行の共同制作で四半期と年次のデータが公表されています。

国際収支は大きく経常収支と金融収支、資本移転収支に分けることができます。
経常収支は、一定期間で国が海外とおこなったモノやサービス、投資収益のやり取りを表したもので、海外から稼いだ所得を海外へ支払う所得で差し引いた対外純資産のことです。
経常収支は国際収支の中心となるものなので、もっとも動向が注目されています。

経常収支の推移
トルテオ編集部

経常収支の見方①:経常収支が「黒字」、「赤字」

経常収支は貿易収支、サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計です。
貿易収支は、海外とモノをやり取りした時の輸出額と輸入額の差です。

サービス収支は、海外からの旅行客が日本で消費した宿泊費、飲食費などの費用と、日本人が海外で消費した費用との差を示しています。
この貿易、サービス収支は経常収支に占める割合も大きいため、経常収支の動きを大きく左右します。
第一次所得収支は利子や配当の収支、第二次所得収支は国際支援などの費用の収支が示されています。

そのため、経常収支が黒字であるということは、海外から日本に入ってくるお金が日本から海外へ出ていくお金よりも大きいことを示しています。
反対に、経常収支が赤字という場合は日本に入ってくるお金より、日本から海外に出ていくお金のほうが大きい状態にあることを示しています。

経常収支の見方②:経常収支を見る際の注意点

黒字や赤字と聞くとなんとなく、黒字は良いことで赤字は悪いことと思うかもしれません。
しかし、経常収支が黒字や赤字であることそれ自体に問題はありません

例えば、ある国が台風などの自然災害で食料品の生産ができなくなってしまったとします。
この時、海外からの輸入がなければその国の人は餓死してしまいますから、貿易で赤字になったとしても輸入をおこなうべきです。
そのため、一時的に赤字であるからといってそれが悪いと判断するのは早計です。

問題となるのは、ある国が長期間にわたって一方的に黒字であり続けたり、赤字であり続けたりすることで生じる不均衡です。
ある国で、大幅な黒字が続くとその国はたくさんお金を手にすることができますが、その犠牲として赤字を強いられる国は反感を抱きます。
それによって生じるのが貿易摩擦などの問題です。

また、黒字が長期的に続くと、その国の通貨の価値が上がります。
すると、為替レートの解説で紹介したように国内の雇用が減少するなど悪影響が出ることもあります。
このように、経済収支を見る際は、黒字や赤字である背景に注意しながら見る必要があります。

経済指標を見る機会を増やそう

これまで、ニュースや新聞などで目にする経済指標について紹介してきましたがいかかでしたか?
知っている用語やいままでなんとなく聞いていたけれど意味や見方が分からなかったという用語もあったかもしれません。

ここで、経済指標の意味や大まかな見方をおさえていただけてたら幸いです。
しかし、経済指標は何度も読んだり見たりするという経験をつむことで、より深く読んだり分析したり、より適切に使ったりすることができるようになります。

また、現実世界の経済がさまざまな要因で影響しあっているように、経済指標もお互いに影響しあっています。
経済指標を見る機会を多く持つことで、このような関連性もつかむことができるようになります。
経済指標を見る機会を増やして、自分のものにしていきましょう!

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