インサイドセールスとは何か?マーケティングとの関係や導入の手順を解説

日本の企業でも少しずつ取り入れられているインサイドセールスという営業手法。
営業は足で稼ぐという時代は終わり、いかにコストを抑え、効率よく営業活動をおこなうかが重要になっています。
今回は、インサイドセールスをおこなうメリットやフィールドセールスとの違い、その役割、導入に向けて必要なツールなどを詳しく紹介します。

インサイドセールスとは?

近年ますます進むIT化、企業の人材不足、働き方改革などさまざまな課題を抱える現代で企業の営業手法や営業職の働き方を変えていく必要があるのではないでしょうか。
ここでは最近、注目されているインサイドセールスとは何か、注目されている理由について紹介します。

インサイドセールスとは何か?

インサイドセールスとは、顧客と対面せずに営業活動の全て、もしくはその一部をおこなう営業手法のことを指します。
インサイドセールスと聞くと、日本語では「内勤営業」と置き換えて考える人もいるのではないでしょうか。内勤営業は、一般的に顧客リストに電話をするテレアポインターや来店したお客様を接客するカウンターセールスなどのことを指します。
しかしインサイドセールスは従来の「内勤営業」が意味するところとは異なり、セールスとマーケティングをつなぐ役割を持っています。

なぜ今インサイドセールスが注目されているのか?

では、なぜ今インサイドセールスが注目されているのでしょうか。ここではその背景を2つ紹介します。

デジタルマーケティングの進歩と普及

1つ目にインターネットサービスが広がり、デジタルマーケティングが発展していることが要因として挙げられます。

インターネットサービスの広がりにより情報は簡単に入手することができるようになりました。
そしてマーケティング手法も単にマスに対して広告を展開するだけではなく、どのような人にどのように宣伝すれば販売促進につながるのかを、個々のデータから施策を実行し、仮説検証できるようになってきました。

働き方が見直されている

2つ目に近年の政府による働き方改革の動きやワークライフバランスの重視が関係しています。

一億総活躍社会実現を目指し、少子高齢化がますます進む日本経済の対策として、誰もが働きやすい環境を作ること、生産性向上させていくことが求められています。
営業という職種に対してもさまざまな角度から見直しが検討され、その1つとしてインサイドセールスが注目されています。

インサイドセールスとフィールドセールスの違い

インサイドセールスに対してフィールドセールスという営業手法が存在します。
フィールドセールスとは、実際に相手先へ訪問して商談や契約をおこなう営業手法です。対してインサイドセールスは訪問はおこなわず、メールや電話、Web会議などを営業ツールとして用いて内部で完結させます。

対象となる顧客はフィールドセールスの場合、もともと商品に対して利用する見込みがある顧客や既存顧客が多いです。インサイドセールスの場合も対象が同様になるときはありますが、合わせて現状ではニーズがない顧客も対象としています。長期的にコミュニケーションをとり、顧客がサービスを必要としたときに自社に問い合わせが入るような関係性を作っておく役割を担うこともできるからです。

またフィールドセールスのみで構成されている営業組織の場合、営業プロセス全てを1人の営業担当がおこなう必要があり、どうしても個人にかかる業務負担が大きくなる傾向がありました。しかしインサイドセールスを導入するの場合は、アポイント取得や顧客の掘り起こしなど営業プロセスごとに役割を分けることが可能で、1人ですべての業務をおこなわず複数の部署が連携して進めるができます。

下記の表は、インサイドセールスとフィールドセールスの違いをまとめたものです。

項目 インサイドセールス フィールドセールス

顧客接触の方法

メール、電話、Web会議

訪問

対象となる顧客

潜在顧客、顕在顧客

顕在顧客

関わり方

長期的なコミュニケーション

短期的なコミュニケーション

役割

マーケティングから営業プロセスまで一部
営業プロセスの全て

営業プロセスの全て

目的

アポイントの獲得
顧客の掘り起こし
受注、など

受注

インサイドセールスのメリット

ここでは、営業の新たな手法として注目されているインサイドセールスの導入に関するメリットを紹介します。

社内外問わずどこでも顧客対応が可能

従来の営業職は訪問をすることを前提としていたため、時短勤務や在宅ワークで対応することは難しい職種でした。
しかしインサイドセールスは、商談がある場合でもWeb会議ツールで対応ができます。そのため、リモートワークが可能です。

これにより、子どもがいて働ける時間や場所が制限される社員、家族に介護が必要でイレギュラーな残業に対応できない社員、怪我や障がい等の事情で物理的に頻繁な移動が困難な社員でも時短勤務や内勤、在宅ワークで業務ができるようになりました。

関連記事:リモートワークとは?4つの種類とおすすめの職種、導入する際の注意点

リードタイムが短い

従来の訪問を伴う営業の場合、訪問日のセッティングや移動時間など商談をするまでに多くの手間や時間を要していました。
対してインサイドセールスであれば、問い合わせや商談にはWeb会議ツールを利用します。そのため、急な問い合わせにも最短でその日のうちに対応することが可能です。顧客の購買意欲が冷めないうちに商談を進められるため、契約率も上がりやすいでしょう。このスピード感は訪問営業では追いつくことはできません。

1人あたりの生産性を上げることができる

訪問型の営業の場合、1日に接触できる顧客数には限界があります。しかしインサイドセールスの場合は直接訪問をしない分、1回の営業にかける時間を削減できます。その空いた時間でほかの業務もおこなうことができ、業務の進むスピードが向上します。加えて業務効率が良くなることで、営業人数が少なくとも利益を上げることもできます。

経費削減につながる

営業活動で実際に訪問するとなると交通費や提案書のプリント費用など、一度の訪問でこのような経費が発生します。
しかしインサイドセールスの場合は、訪問をしないため営業の交通費や場所代の削減ができます。よってコストカットに大きく貢献でき、予算を有効活用することができるでしょう。

インサイドセールスの主な役割

生産性の高い営業活動をするために、顧客の状態や提案する商材に適した場面でインサイドセールスを導入することが重要なポイントです。そのため、インサイドセールスチームを立ち上げるときに何を目的とするのか考えなければなりません。
インサイドセールスには一般的に大きく分けて3つの役割があります。ここではその役割について紹介します。

アポイントの獲得が目的

この役割は、成約率の高いアポイントをとることです。
一般的に、マーケティングが担う役割の一部として、リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)やリードナーチャリング(見込み顧客の育成)があります。

インサイドセールスでは、見込みが高い顧客に電話やメールを使用し集中的にアポイントを取っていきます。場合によっては、インサイドセールスがリードナーチャリングも含めて見込み顧客を創出し、アポイントをとることもあります。
アポイントを獲得したら、フィールドセールス担当に引き継ぎをしていきます。

顧客の掘り起こしが目的

インサイドセールスを活用して、長期的な顧客のフォローをおこなうことも可能です。
現状ではニーズがない顧客でも、どこかのタイミングでサービスが必要になるかもしれません。その時に自社に問い合わせが入るよう顧客との接点を作っておくことはとても大切です。
そのためには、以前に名刺交換をした顧客や問い合わせがあった顧客など、過去に1回でも接触があった顧客の情報を蓄積しておく必要があります。

過去の接触情報ともとに、メールマガジンや新規商材の案内などメールや電話、イベントなどで関係性を持ち続け、新たにニーズが生まれたときに問い合わせがくるような仕組みを作ります。

営業の全プロセスの完結が目的

国内では上記で紹介した2つのほうがインサイドセールスの役割として浸透していますが、営業の活動全般をインサイドセールスのみで担当するパターンもあります。この場合はフィールドセールスの担当者は存在しません。

従来の営業職といえば、新規顧客の開拓から契約後のアフターフォローまで1人の営業が時間をかけておこなっているケースが多くみられました。しかし近年はCRMやSFA、Web会議ツールなどのシステムの普及により、インサイドセールスのみで営業の全プロセスをおこなうことが可能になりました。これにより、時間あたりの顧客の接触数を増やすことができ、生産性の向上につながります。

しかし、このパターンが全ての企業に適用できるわけではありません。
お客様の状態や取り扱う商材によっては訪問が求められる場合もあるということを念頭に置いて、インサイドセールスの活用を考えていきましょう。

インサイドセールスの立ち上げ・導入に向けて

いざ、「インサイドセールス取り入れるぞ!」となったときに何から手をつければいいのでしょうか。ここではインサイドセールス導入時に必要なフロー、システムの紹介をします。

インサイドセールスチームの役割を決める

インサイドセールスチームを立ち上げるにあたって大事なポイントは、顧客とどのタイミングでどのようなコミュニケーションを取るのか、ということです。そして一連の顧客接点において、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサポートなどの担当者がどのように対応するのかを考える必要があります。上記では、主な役割で3つのパターンを紹介しましたが、あの3つ以外にも自社にあった導入の方法があるかもしれません。

オペレーションやKGI、KPIを決める

それぞれの部門の役割や目的が決まったら、最終的な目標を定量的におき、達成するまでの道筋を考えます。
まずKGIを決め、逆算してKPIを決めていきます。

インサイドセールスにおけるKGIとしては、問い合わせの件数やそこからのアポイント数になるでしょう。そして、その達成に向けて必要な接触数やアポイント率などのKPIを設計していく必要があります。

また、掘り起こしを目的とする場合、過去の商談や接触履歴によってにアプローチを変える必要もあります。フィールドセールス担当に接触履歴としてどのような内容を残しておいてほしいか、引き継ぎをスムーズにおこなうためにはどのような情報共有が必要か、という点からオペレーションを考えてみましょう。

関連記事:KPIとは?目標設定に活かす5つのコツ|マーケティングやコールセンターの事例で解説

必要なツールを導入や既存システムのカスタマイズ

インサイドセールスを効果的に導入するうえでツールの導入は必要不可欠です。ここではマーケティングや商談に適したシステムを紹介します。

SFAとCRM

SFA(Customer Relationship Management)とは、社内で営業活動における内容が共有ができ、組織の連携を強め、効率よく営業活動をおこなうためのシステムです。
営業に効果的な役割をするため、営業支援システムとも呼ばれています。

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一括で管理し、ニーズの分析を行いながら戦略的に顧客との関係構築をおこなうためのシステムです。

これらの業務システムを用いて顧客管理、営業管理をおこなっている企業は多いです。
上でも触れたのように、新たにインサイドセールスを立ち上げる場合、KGIやKPI、オペレーションが必要になります。それに合わせて業務システムのカスタマイズが必要になり、場合によっては、新たなシステムへのリプレイスが必要になるかもしれません。

関連記事:SFAとは?導入前に知っておきたい8つのメリットと5つのポイント
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Web会議システム・オンライン商談ツール

Web会議ツールとは、場所を問わずオンラインで会議ができるシステムです。訪問にかかるコスト削減やリード時間の短縮ができるメリットから、多くの企業で導入が行われています。

オンライン商談ツールとは、Web会議システムからさらに商談用に機能が特化したサービスのことです。接続コードを入力すればブラウザ上でWeb会議が開始され、商談を始めることができます。資料共有や音声録音などの機能が備わっているものもあり、商談をサポートしてくれます。

このようなシステムを活用することで、インサイドセールスをより有効に機能させることができます。これらのサービス内容や料金はさまざまあるため、自社にあった選定をおすすめします。

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インサイドセールスは各部門の得意を最大限に生かし生産効率を上げる

いかがでしたか。
インサイドセールスとフィールドセールスによる分業制でお互いの得意分野を活かす方法、すべての営業プロセスをインサイドセールスでおこなう方法など、インサイドセールスの登場により、「営業は訪問をするもの」というこれまでの商習慣が変わりつつあります。
とはいえ、フィールドセールスの価値が下がるわけではありません。なぜなら、顧客が意思決定するときに対面での商談が重要となることもあるからです。

大切なのは組織内でどの部門がどういうことを目的としているのか、顧客との最善のコミュニケーションはどのようなものかなど、状況に適した営業手法を判断し、そこに応じた役割配置をすることです。そして分業制をおこなう利点を理解し組織内の連携を怠らないことです。

効率的で生産性向上を図ることができる営業手法として注目されているインサイドセールスですが、いくつかのポイントを抑えたうえで導入することが自社の成長のカギになるのではないでしょうか。

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