STP分析とは?やり方と例を紹介!4つのセグメンテーションから始めてみよう!

この記事では、STP分析の概要や目的、そして、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」のそれぞれのやり方、代表的な分析手法や事例について初めての方でも分かりやすいように紹介します。
さらにSTP分析をする際に注意しておくべきポイントを「6R」というフレームワークを用いながら紹介します。

STP分析とは?

STP分析とは
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STPとは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3つの言葉の頭文字を取ったものです。
セグメンテーションは顧客のニーズによる市場の細分化、ターゲティングは自社が狙う市場の決定、ポジショニングは競争優位性のある立ち位置の決定を意味します。

つまり、STP分析とは、顧客をニーズごとにカテゴリー化し、自社がターゲットとする市場を決定し、さらにそのターゲット市場における競合他社の立ち位置を加味しながら、自社の製品やサービスが競争優位性を確立できる立ち位置を明確にすることです。
この分析手法は、新たな市場に参入する際や現状の戦略を見直す際によく用いられます。

STP分析をする目的

ここでは、2つの観点からSTP分析をおこなう目的を紹介します。

STP分析の目的①:自社を有利なポジションに位置付けるため

STP分析をおこなう際には、ターゲティングした市場の中で十分な競争優位性が保てるのか、もしくは事業として十分に利益を出せるのかという視点を持つ必要があります。
なぜなら、先ほども触れたように、STP分析は事業戦略の立案など、重要な場面で用いられることが多く、この分析がしっかりしていないと後で事業がうまくいかなくなってしまう可能性があるためです。

したがって、ターゲット市場の中で競合はどのようなユーザーをペルソナに設定しているのか、また競合の商品やサービスの特徴はどのようなものかなどを明確にしながら、自社が十分に戦っていけるポジションを見つけ出すためにSTP分析をおこないます。

STP分析の目的②:顧客像を具体的に把握するため

新たな商品やサービスを市場に投入する際には、その市場における顧客像を具体的に把握することが重要です。
市場にどのようなユーザーがいるのか、どのようなニーズがあるのかを分析・検討することで、より顧客に沿った商品・サービスを開発し、販売することができるでしょう。
STP分析を通じて具体的な顧客像を把握することで、実際に顧客はどういうものを求めているのかを明確にし、そのニーズに合ったマーケティング戦略を立案・実行し、より投資対リターンの大きい事業に育てていくことができるでしょう。

STP分析のやり方①「S:Segmentation(セグメンテーション)」

セグメンテーション
トルテオ編集部

ここでは、Segmentation(セグメンテーション)の概要とやり方について紹介します。

セグメンテーションとは

セグメンテーションとは、ニーズが似ている顧客をそれぞれカテゴリーに分類し、市場を細分化することです。
何かしらの項目に分けてセグメンテーションの分析をおこなうことによって、自社の商品やサービスがどのような顧客にはまりそうなのか、言い換えると売りやすい市場を見つけ出すことを目的にセグメンテーションをおこないます。

項目別にわけてみる

セグメンテーション項目別
トルテオ編集部

市場細分化といってもただ漠然と細分化しても意味がありません。セグメンテーションでは、どのような切り口で市場を細分化するのかを意識することが重要です。

どこまでセグメントすべきなのか、またどのような指標でセグメントすべきなのかという点に関しては、代表的なものとして「地理的変数」「人行動態的変数」「心理的変数」「行動的変数」の4つに分けることが挙げられます。

地理的変数(Geographic Segmentation)

国・市区町村・都市・人口・人口密度・気候・文化・信教などの切り口で分割します。この切り分け方は、実店舗を持つ企業に特に有用なセグメンテーションです。

例えば、乳幼児の日用品や衣類を販売している企業の場合は、ファミリーが多く住んでいる住宅地に出店する計画を立てたり、スーツを販売する企業であれば、ビジネス街に出店するといった戦略を立てられるようになります。

人口動態的変数(Demographic Segmentation)

性別・年齢・家族構成・所得・学歴・職歴・役職などの属性によって分割します。
例えば、若い女性をターゲットにしていて、低単価なアイテムを提供しているアパレル企業であれば、10〜20代の女性で所得300万円以下のセグメンテーションにアプローチすることが効果的です。

また逆に高単価なハイブランドの衣類を販売している企業であれば、役職は課長以上で所得は600万円でかつ独身男女などのセグメンテーションをかけたりすることが効果的になるでしょう。

心理的変数(Psychographic Segmentation)

顧客のライフスタイル・価値観・性格・購買動機などの心理状態によって分割します。
近年では顧客のニーズの多様化によって個々の顧客に向けたOne to Oneマーケティングが主流になってきており、心理的変数はかなり重要な指標であるといえます。

心理的変数を活用したものとしては、例えばファッションアイテムであれば、カジュアルなものが好きなのかシンプルなものが好きなのかなど嗜好に基づいてセグメンテーションをしたり、また食料品であれば、高くても安全性の高い無農薬のものがいいのか、安ければ安いほどいいのかなどの金銭的価値観に基づいてセグメンテーションをしたりすることが挙げられるでしょう。

行動的変数(Behavioral Segmentation)

商品やサービスの利用頻度、使用用途など個人の行動に基づいて分割します。
行動的変数を活用した例としては、ある日用品の購買頻度によって顧客をヘビーユーザーやライトユーザーに分けたり、どのタイミングでこの日用品を購入しているのか(1カ月に1回、2カ月に1回など)によってユーザーを分けたりすることが挙げられます。

このような購買頻度や購買日時など、行動的変数のセグメンテーションは、Webマーケティングでは非常に重要な方法であり、Eコマースにおいては主流のセグメンテーションです。

STP分析のやり方②「T:Targeting(ターゲティング)」

ターゲティング
トルテオ編集部

ここでは、Targeting(ターゲティング)の概要とやり方について紹介します。

ターゲティングとは

ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化した市場の中で、どの市場カテゴリーを自社のターゲット市場にするのかを決定することです。
セグメンテーションは市場を顧客のニーズによって細分化することであり、ターゲティングはその細分化された市場の中でどの部分を自社の戦略上の標的にするのかを決定することなので、セグメンテーションの中から市場を絞り込んでいく作業がターゲティングであるといえます。

このターゲティングは、自社の商品やサービスを購入する可能性がより高い顧客にアプローチし、マーケティング施策の費用対効果をより向上させるためにおこないます。

ターゲティングの3つのパターン

ターゲティングをおこなう際には、「無差別型マーケティング」「差別型マーケティング」「集中型マーケティング」という3つの方法がよく用いられます。
ここでは、そのそれぞれの概要や活用事例を紹介します。

無差別型マーケティング

無差別型マーケティングとは、セグメンテーションによる市場の細分化を考慮せず、すべての市場に同じ商品やサービスを提供するマーケティング戦略です。
無差別型マーケティングは、すべての市場をターゲットとするため、膨大な資金が必要となるので、大手企業がよく利用する手法です。
飲料や食品など、一律で全員をターゲットとしている商品などのマーケティング戦略がこの無差別型マーケティングに当てはまります。

差別型マーケティング

差別型マーケティングとは、セグメンテーションによって細分化された、それぞれの市場のニーズに合わせて、自社の商品やサービスを提供するマーケティング戦略です。
差別型マーケティングはこれらの3つのマーケティング手法の中でもっとも一般的な手法であり、大小問わず数多くの企業で利用されています。

例えば、複数のブランドを抱えるアパレル企業の場合、ターゲットとする市場に合わせて異なる価格帯、コンセプトを掲げたブランドを展開し、それぞれのブランドで独自の商品を販売したりしています。

集中型マーケティング

集中型マーケティングとは、セグメンテーションによって細分化された市場の中で1つ(もしくは少数)の市場セグメントに特化して、あらゆる資源を集中的に投下するマーケティング戦略です。

この手法は、大手企業と比較すると資源が少ないベンチャー企業によく見られます。手広く複数の市場に資源を投下させて、資源を分散させずに1つの市場に特化して資源を投下し、まず1つの市場で勝利を収めることを目指します。

STP分析のやり方③「P:Positioning(ポジショニング)」

ポジショニング
トルテオ編集部

ここでは、Positioning(ポジショニング)の概要とやり方について紹介します。

ポジショニングとは

ポジショニングとは、セグメンテーションとターゲティングを通じて設定した市場セグメントの中で、競合の商品やサービスと比較しながら、自社の立ち位置を明確にすることを指します。その際に、競合の製品やサービスよりも優位になるように比較軸をいくつか(基本的には1〜4つ)決めることが重要です。

ポジショニングマップの活用

ポジショニングマップ
トルテオ編集部

ポジショニングの軸を決める際は、「ポジショニングマップ」を活用することでスムーズにポジショニングを進めることができます。
ポジショニングマップを用いることで、競合の商品やサービスと比較して、どこに違いがあるのかを可視化し、客観的に分析することが可能になります。

2軸の選定

ポジショニングマップを活用する際は、まず競合と比較する2つの軸を選定します。
この際、比較対象の商品やサービスのKBF(購買決定要因)を洗い出します。

それらKBFの中から、自社製品を販売するうえで、重要度が高く、互いに被らない2つの要素を選び、2つの要素を選び、それぞれを縦軸と横軸に位置づけて比較軸とします。
具体的な軸としては、価格、機能性、デザイン性、使いやすさ、美味しさ、楽しさなどが挙げられます。

それぞれの企業のポジショニング理解

軸だけが記入されたグラフに自社と競合他社の商品やサービスをそれぞれ位置付けていきます
そして、完成したグラフをもとに、それぞれの企業がどのようなポジショニングを図っているのかを視覚的に把握していきます。

将来的な自社のポジショニングの選定

ポジショニングマップを活用し、それぞれの企業の商品やサービスの立ち位置を客観的かつ視覚的に理解したあとは、将来的に自社がどのようなポジショニングをとるべきか分析します。
どのポジションをとれば、自社の競争優位性を保ち、利益をしっかりと確保できるのかを認識する必要があります。

STP分析をする際の注意点、ポイント

ここでは、STP分析をおこなう際に注意しておくべきポイントを紹介します。
冒頭で紹介しましたが、STP分析の目的は「自社を有利なポジションに位置付けるため」と「具体的な顧客像を把握するため」の2点です。

そして、最終的には十分な収益性を担保でき、新規市場参入や方向転換した戦略を成功に導くことがゴールです。
そのため、客観的にそれそれの市場の可能性についてしっかり評価することが重要になります。

6Rに沿って市場を評価する

6R
トルテオ編集部

セグメンテーションとターゲティングによって定まった市場において、十分に収益性が見込めるのかどうかを評価します。そこで「6R」というフレームワークが有効です。

6Rは、市場規模(Realistic Scale)、競合状況(Rival)、市場の成長性(Rate of Growth)、優先順位(Rank)到達可能性(Reach)、測定可能性(Response)のそれぞれを分析し、6つの指標を総合的に評価して、ターゲット市場が自社の投資先として有効かどうかの判断をするために用いられます。
それでは、次にそれぞれのRで何を分析する必要があるのかを紹介します。

市場規模(Realistic Scale)

市場規模では、収益性を担保できるほど十分な市場規模があるかどうかを確認します。
というのも、企業が売上を増やし続けるためには市場シェアを上げていく必要がありますが、市場規模が極端に小さければ、シェアをどれだけ取っても利益を確保できない可能性があるからです。

市場の成長性(Rate of Growth)

市場の成長性では、自社のターゲット市場に成長性があるかどうかを確認します。
成長市場であれば、その成長に従って売上や利益の確保が見込めやすくなるため、できる限り成長市場を選ぶようにしましょう。
例えば、日本は今後高齢化社会がより進むといわれているので、高齢者向けサービスの市場は成長市場といえます。

競合状況(Rival)

競合状況では、競合の数や強力な競合がいるかどうかを確認します。
もっとも理想的なターゲット市場は、競合が少なくかつ強力な競合がいない、いわゆる「ブルーオーシャン」と呼ばれる市場です。

その反対に、競合が多く、かつ強力な競合もいて、価格競争などが激化している市場を「レッドオーシャン」と呼びますが、このような市場は参入障壁が非常に高いので、資金に余裕がない限りは避けるべきです。

優先順位(Rank)

優先順位では、顧客にとって優先度の高い市場セグメントであるかどうかを確認します。
顧客の関心が高い市場であれば、メディアやSNSなどの影響で周囲への波及効果が期待でき、大きなコストをかけることなく、効率的に市場シェアを取れる可能性があります。

最近では、ブロガーやインスタグラマーなどのインフルエンサーといわれる個人が、プロモーションにおいて非常に大きな影響力を持っています。

到達可能性(Reach)

到達可能性では、ターゲット市場の顧客に自社の商品やサービス、プロモーションがしっかりと届くかどうかを確認します。
競合が少なく、強力な競合もいないブルーオーシャン市場であっても顧客に自社の商品やサービス、プロモーションがしっかりと届かない(もしくは届きにくい)場合、結局顧客の手に商品が渡ることはありません。

例えば、高齢者向けに何らかのWebサービスを作ったとしても、若い人たちのようにパソコンやスマホを毎日定期的に使う高齢者は少ないと予想されるので、サービスを利用してもらえない可能性が高いといえるでしょう。
この場合は、自社製品の到達可能性が低く、顧客にリーチしにくい市場であると考えることができます。

測定可能性(Response)

測定可能性では、顧客の反応を測定できるかどうかを確認します。
自社が実施したマーケティング施策に対して、顧客が実際にどのような反応をしたのかを確かめることができれば、今後のマーケティング活動を改善することができるでしょう。
そして、さらにより良いマーケティング施策を施して、顧客に商品やサービスを届けることが可能になります。

客観的に分析する

STP分析をする際には、客観的に分析することも重要です。
なぜなら、STP分析では顧客のことをきちんと理解するということがポイントになるので、自分自身の主観や偏見を入れず、客観的な数字や分析に基づく必要があるからです。
特にその業界にずっと在籍している人たちは、長年の経験や勘もあり、主観や偏見によって判断してしまいがちなので、客観的に分析することを意識するようにしましょう。

マーケティングにSTP分析を活かしてみよう

STP分析は、自社の競争優位性を確保するためのフレームワークであると同時に、マーケティング戦略の基本であり、重要なものです。
マーケティング担当だけでなく、さまざまなビジネスパーソンにとって役に立つフレームワークなので、ぜひ一度学んでみてはいかがでしょうか。

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