PEST分析とは?実際の活用事例から、ビジネスに活かすコツをマスターしよう

マーケティング戦略の立案に使える、PEST分析について紹介します。
適切なマーケティング戦略を立案するためには、外部環境を把握して分析し、自社が取りうる打ち手を探し出す必要があります。
この記事では、外部環境を4つのテーマに分けて分析するためのフレームワークである、PEST分析についてを分析すると同時に、その目的、使い方などを紹介します。

PEST分析とは?

PESTとは
©Rawpixel.com – shutterstock

PEST分析とは、自社の状況をとりまく外部環境を分析し、マーケティング戦略の立案に活かすためのフレームワークです。
そもそもPEST分析という言葉は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの頭文字から形成されたものです。

また、さまざまなフレームワークのなかでも、PEST分析は外部環境・マクロ環境を分析することに特化しているというという特徴があり、市場に眠っているチャンスや課題を客観的に紐解くことができます。

PEST分析の目的、なぜPEST分析を使うのか

そもそも、なぜPEST分析を活用する必要があるのでしょうか。
それは、自社を取り巻く外部環境を客観的に把握し、自社のマーケティング戦略立案に活かすためです。

どんな企業であっても、株価のような経済動向や新たな技術開発など、外部環境やマクロ環境の影響を受けます。自社を取り巻く外部環境を正確に把握し、中長期的な事業戦略を決定するための土台として、このPEST分析を活用します。

PEST分析を活用するには~各要素の分析~

pest
トルテオ編集部

PESTをうまく使いこなすには、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの要素がそれぞれなにを指しているかを正しく把握する必要があります。
マーケティング施策を打ち出し、事業戦略を立案するうえで、このPESTそれぞれが意味するものを正確に理解しておきましょう。

P:Politics(政治的要因)

politics
トルテオ編集部

Politicsは政治的要因を意味します。ここは、法律や条例、また国家間の活動からくる影響などが当てはまります。
そのほかにも、業界ごとに決められている規制などが政治的要因とされ、企業が事業をおこなう際に従うべきルールを意味しています。

何を調べるのか

ここでは、政治動向や、法改正など、行政面から自社を取り巻く環境を分析します。
その際、すでにある法律を正確に理解すると同時に、法改正や規制緩和などの最新状況に柔軟に対応することで、自社の売り上げをうまく増やすことができます。

具体例

Politicsでは、以下のような要素を調べることで、自社を取り巻く政治的要因を把握することができます。

  • 法改正・判例・規制緩和
  • 税制の変化
  • 政治動向
  • 政治思想の潮流、変化
  • 補助金制度・交付金制度・特区制度の変化

E:Economy(経済的要因)

economy
トルテオ編集部

経済的要因を意味するEconomyでは経済成長や景気、さらには物価や為替動向など経済動向の指標を分析します。
経済的に見てどのようなトレンドにあるのか、今後どのように変化する可能性があるのかを分析することで、自社が取るべきポジションを見直すことができます。

何を調べるのか

ここでは、経済の根幹にあたる「カネ」に関するリサーチをおこないます。
さきほど触れたように、どんな環境下であっても経済動向の影響を受け、モノやサービスの価格が変動することがあります。
したがって、このEconomyでは根本にあるお金の動きを調べます。

具体例

ここでは商品やサービスにおける、その時々の「カネ」の動向を調べる必要があります。例えば、以下のような経済動向の変化を調べます。

  • 景気動向の変化
  • 賃金動向の変化
  • 物価・消費動向の変化
  • 為替レートの変化
  • 金利の変化
  • 株価の変化

S:Society(社会的要因)

society
トルテオ編集部

社会的要因を意味するSocietyでは、ライフスタイルや流行、各地域の特性などを分析します。
当然のことですが、ライフスタイルや流行が何十年も変わらない環境はありません。
そして、こういった動向をしっかりと読み解くことで、マーケティング施策や事業戦略を立案するための土台を強固にすることができるでしょう。

何を調べるのか

Societyでは、その時々のライフスタイルや流行を正確に把握する必要があります。
とはいえ、現在流行となっている分野はほかの企業がすでに手を出しているかもしれません。
ここでは、今後どのようなものが流行りそうなのか、またどのようなトレンドを作っていけそうなのかといった視点も踏まえて分析する必要があります。

具体例

ここでは、以下のような項目を調べることで自社を取り巻く社会環境を整理することができます。

  • 人口動態の変化
  • 社会インフラの変化
  • ライフスタイルの変化
  • 社会事件
  • 流行

T:Technology(技術的要因)

technology
トルテオ編集部

技術的要因を意味するTechnologyでは、テクノロジーそれ自体や関連のサービス、そしてそれが及ぼす影響を分析します。
さまざまなテクノロジーが発達する今日、自社を取り巻く環境においてテクノロジーが占める割合は日に日に大きくなっています。

何を調べるのか

ここでは、通信技術、生産技術、機器などテクノロジーに関するさまざまなことを分析します。
どのようなテクノロジーが発達しており、かつそれらテクノロジーが自社業界にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを分析します。

具体例

具体的には以下のような項目を調べます。特に設計技術や研究開発技術は、企業の生産コストを下げるうえで重要視すべきポイントです。

  • 技術革新
  • ビッグデータ
  • IT・デジタル技術
  • 研究開発技術
  • 設計技術
  • 生産技術

PEST分析を活用する際の注意点

PEST分析の際の注意点
©Eiko Tsuchiya – shutterstock

ここまで解説してきたPEST分析の目的やそれぞれの要素の意味合いを正しく理解していれば、事業戦略の立案をスムーズに進めることができるでしょう。ただし、いざ実践してみると本来の目的から逸れてしまうこともよくあります。
ここでは、多くのビジネスパーソンが陥りがちな注意点を紹介します。あらかじめ把握しておくことで、うまくPEST分析を使いこなしてみましょう。

やみくもに探さず、目的を意識する

PEST分析を正しく実践するための注意点の1つ目が、やみくもにせずに、目的をもって分析する必要があるという点です。
PEST分析をいざ実践しようとすると、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの要素をつぶさに調べたくなりますが、調べることに時間を費やしてしまって、その間に外部環境が変化してしまっては本末転倒です。

PEST分析の目的はあくまで自社を取り巻く外部環境・マクロ環境を把握し、事業戦略の土台を形成することにあります。
そのため、そもそも何のためにPEST分析をするのかを整理しておき、多くの情報を収集しすぎて、本来の目的とは別のアウトプットを出さないようにしましょう。

大きな変化に注目する

多くのビジネスパーソンはついつい「すぐに成果の出る事業戦略を考案しよう」と考えてしまいがちですが、PEST分析は中長期的な企業戦略を考えるためのフレームワークです。
過去の例でいえばリーマン・ショックという出来事から数カ月後の生活者の動向を調べるのではなく、リーマン・ショックが起こったことで世の中がどのように変化するかという大きな変化に注目することを通じて、PEST分析をおこなう必要があります。

事実と解釈を分ける

PEST分析では事実と解釈を分けて分析する必要があります。
PEST分析のようなフレームワークを活用するときは、起こった事実と主観を盛り込んだ解釈が混同されてしまうことが少なくありません。

「リーマン・ショックによって、転職市場が冷え込んだ」という文章は事実に思えますが、必ずしも、転職市場の冷え込みはリーマン・ショックのみによってもたらされたわけではありません。
リーマン・ショックが転職市場に強く影響していることは紛れもない事実ですが、転職市場が冷え込んだのにはほかの要因が影響している可能性もあるのです。

リサーチ対象を広げすぎない

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の外部環境・マクロ環境をすべて調べあげれば、完璧な企業戦略が完成するかというと、必ずしもそうではありません。
時間という制約がある以上、どんなビジネスパーソンにも調べることができる範囲には限界があります。

調べる範囲を広げすぎて、手が付けられなくなるといった事態を避けるためにも、PEST分析の範囲を定める、スピードを意識する、ある程度調べたら目的とのズレがないかを確認するといったように、リサーチする範囲をある程度に留める必要があります。

定期的にチェックし、アップデートする

外部環境・マクロ環境は常に変化し続けるため、定期的にチェックし、アップデートし続ける必要があります。
四半期や半期など、一区切りごとにPEST分析をおこない、中長期的なビジョンを見直すことが重要です。

PEST分析を活用した具体例

PEST分析の具体例を紹介していきましょう。

Politics(政治的要因)の例

政治的要因の代表的な例として、消費税増税が挙げられます。
この消費税増税でダイレクトに影響を受けるのは、日用品ではなく不動産や自動車を販売する事業主でしょう。
消費税が増税されることで、当然、顧客が支払う金額は増加します。

それが不動産や自動車などの高額商品であれば、消費税分だけでも大きな金額になります。
そのため、これらの高額商品には、増税前に需要が高まる傾向があります。
その反動で、増税後には買い控えが起こると予想されます。

Economy(経済的要因)の例

経済的要因の代表的な例は、為替レートです。
為替レートの変動は、輸出入にダイレクトに影響を与えうる要因であるといえるでしょう。

円安になると、輸入をメインにおこなっている事業はダメージを受け、逆に円高になると、輸出をメインにおこなっている事業がダメージを受けます。
そのため、その時々の為替レートの上下に合わせて、事業戦略を柔軟に変更させる余地を残しておく必要があります。

Society(社会的要因)の例

社会的要因の例として、ここではSNSを取り上げます。
近年、インターネット環境の普及により、ほとんどの人がSNSを活用しています。このSNSの台頭は、企業にとっては純粋にチャンスと捉えることができるでしょう。

というのも、これまで以上に顧客に寄り添ったマーケティング活動をするためのヒントがSNSのなかに眠っているからです。
現に、SNSを駆使して戦略的にPRや広報をおこなっているも企業もあり、社会的な流行をうまく利用した例であるといえるでしょう。

Technology(技術的要因)の例

技術的要因の例としては、5Gの普及に伴うIoTの台頭について紹介します。
5Gの普及によって、さまざまなモノがインターネットに接続され、相互に情報交換する仕組みのことを指すIoTの実現が可能になります。

このIoTを活用することで、顧客の行動データや定性情報など、膨大な量のデータを得ることができるため、それをうまく分析して活用するデータサイエンティストを配置する必要があります。
そのため、今のうちからデータサイエンティストを育成することで、来るIoT社会の到来に向けて種まきをしておくといったことが可能になります。

関連記事:IoTとは?わかりやすく解説|国内海外の7つの事例も紹介

PEST分析とSWOT分析を組み合わせてみよう

pest分析とswot分析を組み合わせる
©Mathias Rosenthal – shutterstock

最後にPEST分析と組み合わせることで、さらに効果を発揮することができるSWOT分析というフレームワークを紹介します。
SWOTは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの頭文字をとった戦略立案フレームワークの1つです。

このSWOT分析は、主に企業の内部環境にフォーカスして分析するためのフレームワークであるため、PEST分析との相性が非常に良いといわれています。
SWOT分析についてさらに詳しい内容は以下の記事をご覧ください。

関連記事:SWOT分析とは?読み方がわからない人にも具体例付きで簡単に解説してみた

PEST分析を活用して、マーケティング戦略立案の土台を築こう

Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの環境を調査し、自社を取り巻く環境を分析するためのフレームワークであり、中長期的に企業がどのような戦略を講じるべきかを考えるヒントになるでしょう。
ただし、PEST分析はあくまで企業戦略の土台を形成するための情報の1つです。
上で紹介した注意点を押さえておきながら、時間をかけすぎることなく、うまく使いこなせるようにしましょう。

公式Facebookページでもチェック最新記事をお届けします