リカレント教育とは?厚生労働省も推進するリカレント教育、補助金も受けられる!?

近年注目されているリカレント教育をご存知でしょうか。
働き方改革が叫ばれ、個人としての市場価値が重要視されている今日では、このリカレント教育に多くのビジネスパーソンが注目を集めています。
厚生労働省の給付金制度も活用しながら、リカレント教育を通じて自身のスキルアップにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

リカレント教育とは

リカレント教育とは
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近年、リカレント教育は大きな注目を集めています。
このrecurrentという単語を辞書で調べると、「再発する・循環する」といった意味があり、リカレント教育とは、「個人が社会に出てからも、生涯にわたって学習と諸活動を交互におこなうことができる教育システム」のことを指します。

個人が日々変化していく社会情勢に対応していくためには、リカレント教育の背景には、人生初期の義務教育だけでは不十分であり、常に学び続ける必要があるという考え方があります。
このリカレント教育の概念は1960年代頃から主張されはじめ、その後1970年以降、経済協力開発機構(OECD)が普及に向けた取り組みを本格化させました。

リカレント教育が普及している背景

リカレント教育が普及している背景
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リカレント教育は1970年ごろより普及がはじまった概念ですが、なぜ近年大きく注目されるようになったのでしょうか。
ここには現在日本が抱える社会的な問題が関係しています。

働き方の変化

1970年代の日本における働き方は現在と大きく異なり、最初に入社した会社で定年退職を迎える、終身雇用が一般的でした。
そのため個人が求められる能力は会社独自のものとなり、会社の中での研修を通してスキルアップをすることが常識となっていました。

しかし近年では従来の終身雇用という考え方が消失しつつあり、転職を前提とした社会人生活を送る人も増えています。
こういった背景から自分自身の市場価値を高めるため、リカレント教育に取り組む人が多くなってきています。

高齢化社会によるキャリアプランの変化

この数十年間で医療の技術も大きく進化を遂げています。1970年代と比較すると、現在の日本人の平均寿命や健康寿命は大きく伸び、それに準じて高齢化社会が急速に進行しています。
多くの企業では定年退職の年齢が65歳へ引き上げられているものの、平均寿命も延びているため、より長く経済的な安定を確保する必要が出てきました。

そのため、定年後でも何かしらの形で収入源を確保するべくさまざまな選択肢を残しておく目的で新たな学習をする人も増えています。
内閣府の調べによると、35歳〜64歳の男女のうち約50%が「65歳以上でも収入を伴う就労に意欲がある」、25%以上が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しています(※1)。

このことからも、定年退職後の収入の確保を考慮し、キャリアの幅を広げて、自分の市場価値を高めるための種を植えるためにも若いうちにリカレント教育を検討する人が増えていくと考えられるでしょう。

リカレント教育を受けるメリット

meceのメリット

ここではリカレント教育を受けるメリットについて説明していきます。

キャリアアップを図ることができる

リカレント教育を通じて、日頃の業務や所属する業界に関係のない、さまざまな分野の学習をすることにより、ビジネスパーソンとして幅広い知識を得ることができます。
そしてその知識を活かして、これまで思いつかなかったような自身のキャリアアップに役立てることも可能になります。

企業によっては、福利厚生の一環として大学などで勉強することを支援しているところもあります。
1つの企業で働き続けるという働き方が変わってきている今、企業側はこのような機会を従業員に提供して従業員のキャリアアップを手伝う姿勢を持ち続けることで、従業員の定着率やエンゲージメントを向上させていく必要があります。

リカレント教育で得た知見を仕事に活かすことができる

リカレント教育で得た専門知識を日頃の業務に活かすことももちろん可能です。
心理学を学んでマネジメントに活かしたり、プログラミングを学習して販売するIT商材の知識を深めたりするなど、日頃の業務と関連性のあるものを学ぶことで、自身の成果をさらに上げることができるかもしれません。

社外の人たちとの人脈を形成することができる

リカレント教育を受ける場合、講義形式のものやセミナー形式のものなど、さまざまな形式のものがあります。
そのような場で教育を受けることにより、会社外の人たちとのコミュニティに所属することができるようになります。

社外の人とのコミュニティができることで新たな発想が生まれたり、刺激をもらったり、あるいは本来の目的であったキャリアアップにつながることもあるでしょう。
リカレント教育を通じ新たな人間関係を構築することで、自身の能力を高めることはもちろんですが、それ以上にあなたのキャリアの選択肢を大きく広げることができる可能性もあります。

日本のリカレント教育の現状と課題

リカレント教育の現状と課題
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現状、日本国内でリカレント教育はどのぐらい普及しているのでしょうか。
また、リカレント教育がさらに普及するためにどんな課題があるのかをここでは紹介します。

日本のリカレント教育の現状

日本では、まだまだリカレント教育は他国に比べて普及していません。
高等教育機関(4年制大学)への25歳以上の入学者割合を調べたデータによると、スイスが約30%、スウェーデンが約26%、オーストラリアが約21%、ドイツ・イギリスが約14%、OECD平均でも約16%であるのに対して、日本は約2.5%と、極めて低い水準となっています(※2)。

まだまだ日本においては就業後に大学に戻って学習するという習慣が定着しておらず、欧米に比べて教育や就業に関する概念や慣習が大きく異なります。
そもそも欧米では、就業した後でも新たな知識が必要となった場合には改めて教育機関に就学することを推奨しています。

そのため就業と就学を交互に繰り返す、本来のリカレント教育の概念に近い活動ができています。
しかし日本ではまだまだ義務教育レベルでしか本格的に教育を受ける機会がなく、学び直しのための制度も整いきっていないのが現状です。

日本のリカレント教育の課題

日本国内においてリカレント教育を普及させていくための課題は何なのでしょうか。
ここでは、「時間」「コスト」「選択肢」の3つの項目に分けて、日本におけるリカレント教育普及に向けた課題を紹介します。

学び直しに充てる時間がない

リカレント教育が普及しない1つ目の要因は、日々多忙な社会人が改めて学習に充てるべき時間を確保できないという点です。
社会人である以上、学習するからといえ本業を疎かにするわけにはいきません。
最近ではサービス残業による過労死などの問題も大きく取り上げられ、働く環境も変わってきていますが、それでもまだまだ画一的な働き方が残っていることは事実です。

またエクスペディア・ジャパン社が2018年に実施した「有給休暇の国際比較調査」によると有給休暇の取得率、取得日数の両方で日本が3年連続最下位であったと発表されました。
こういった社会背景から日本人はリカレント教育を実施するにあたり、他国と比べて十分な時間を確保することが困難であるという現状があります。

費用がかかる

リカレント教育が普及しない2つ目の要因は、大学に入ったり、教室に通ったりするための費用を捻出するのが非常に困難であるという点です。
日中働いているビジネスパーソンのために夜間に講座を開設している学校も存在しますが、その場合でも数十万円、数百万円がかかり、決して手軽に払えるわけではないほど高額な金額がかかる場合がほとんどです。

日々の生活費や雑費、子育てなどの費用も必要となる中で、リカレント教育に向けた費用を捻出するのは決して容易ではありません。

選択肢が多くて、何を選べばいいのかわからない

リカレント教育が普及しない3つ目の要因は、学習する分野の選択肢が多すぎて何を選べば良いのか適切に選択ができないという点です。
例えばグローバル社会に向けた語学の学習、企業運営の実務へ活かすことのできる財務、人事、経営に関する学習、プログラミングに代表されるような個人のスキルアップの学習など、選択肢は多くありますが一つひとつの学習において必要となるコストや時間を考慮すると、それだけで現役の社会人には大きな負担となります。

学んだことを最終的にどう活かすかまで考えた上で、学習する分野を選定する必要がありますが、その分野をどうやって決めればいいのかわからないと考える人が多いのが現状です。

リカレント教育の補助金~厚生労働省が掲げる教育訓練給付制度とは~

リカレント教育補助金
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リカレント教育が普及しない要因の1つとして費用がかかるという点を紹介しました。
しかしこの課題を解決するため、そしてリカレント教育の普及を推進するために厚生労働省が教育訓練給付制度というものを立ち上げています。
ここでは教育訓練給付制度について詳しく説明していきます。

教育訓練給付制度とは

教育訓練給付制度とは厚生労働省が実施している施策の1つです。
厚生労働省のホームページでは、この教育訓練給付制度は「働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるもの」と定義されています。
一定の条件を満たす場合に、教育訓練支援金が給付されます。

教育訓練給付金には2通りある!

教育訓練給付金には、大きく「一般教育給付金」と「専門実践教育給付金」の2種類があります。ここではそれぞれの詳細について解説していきます。
詳しい内容は厚生労働省のホームページを参考にしてください。
参考:教育訓練給付制度|厚生労働省

項目 一般教育訓練給付金 専門実践教育訓練給付金

目的

働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援するための給付金

働く人の中長期的なキャリア形成を支援するための給付金

対象講座例

簿記検定、情報処理技術者など

看護や介護、保育のための専門学校など

給付金額

教育訓練経費の20%相当

教育訓練経費の50%相当

一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金とは、働く人の主体的な能力開発の取り組みを支援するための給付金であり、簿記検定や情報処理技術者取得のための講座などが当てはまります。
この給付金では、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%相当を給付してもらうことができます。

ただし支給金額の上限は10万円で、かつ4,000円を超えない場合は給付してもらうことができません。
ただし、支給対象者には、受講開始日時点で雇用保険の支給要件期間が3年以上、失業中の人であれば離職してから1年以内であることなどの条件があります。

専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金は、働く人の中長期的なキャリア形成を支援するための給付金であり、看護や介護、保育のための講座や専門学校に通う場合が対象となります。
教育訓練施設に支払った費用の50%相当の給付が受けられます。
ただし上限金額は40万円であり訓練期間が最大3年間となるため、最大で120万円が上限となります。

また一般教育訓練給付金と同様に4,000円を超えない場合は給付を受けることができません。
ただし、支給対象者は一般教育訓練給付金と同様に、受講開始日時点で雇用保険の支給要件期間が3年以上、失業中の人であれば離職してから1年以内であること、前回の教育訓練給付金受給から3年以上経過していることなど、いくつかの定めがあります。

リカレント教育を通じてキャリアアップを!

今回はリカレント教育について、概要から日本国内での現状や課題、また個人で利用できる給付金について紹介しました。
終身雇用制が薄れつつある今日の社会では、1つの企業で勤めあげるという従来の社会システムが変革しつつあります。
そういった時代を生き抜いていくために、今回、紹介した給付金なども活用しながら、ビジネスパーソンとしての自身の価値を継続して高めていけるよう、キャリアアップへ努めていきましょう。

※1:平成25年度 高齢期に向けた「備え」に関する意識調査結果(全体版)|内閣府
※2:第6回 人生100年時代構想会議(資料1:リカレント教育)|首相官邸

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