OKRとは?MBO、KPIとの違いから導入前に知っておきたいポイントまで紹介

GoogleやFacebookなどシリコンバレーの一流企業が導入している目標管理手法であるOKR。
今回は、そんなOKRの概要や特徴、企業にとってOKRを導入するメリットは何なのか、そして従来のKPIやMBOと比較してどこが違うのかを紹介します。
さらにOKRを導入する際に踏むべき5つのステップや実際に運用する際に注意すべきポイントについても説明します。

OKRとは?

OKRとは
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OKRとは、GoogleやFacebookなどのシリコンバレーの一流企業が導入している、目標設定および管理のための手法です。
OKRは、「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったものであり、日本語では「目標と成果指標」といいます。
具体的には、OKRは企業や組織が目標(Objectives)を達成するために、その目標を細分化して主要指標(Key Results)とし、事業やグループ、さらには個人ごとに落とし込みます。

OとKRの違い

このOKRを設定する際には、Objectivesで定性的な目標、Key Resultsで定量的な目標を設定する必要があります。Objectivesで定性的な目標を設定する理由としては、組織として1つの目標を達成することに意義を感じなければ、チームや個人のモチベーションを引き上げられないからです。
そして、Key Resultsで定量的な目標を設定する理由は高い頻度で再評価及び再設計をおこなうので、定量的でなければ、そもそも短いスパンでの評価をしにくいためです。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリット
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ここでは、OKRを導入するメリットを3点紹介します。

OKR導入のメリット①:会社と組織、社員それぞれの目標を連動させやすくなる

OKRを設定する際は、会社のOKRを設定し、そのOKRとリンクするように部署や組織のOKRを設定し、さらにそれにリンクするように各社員のOKRを設定します。
そのため会社、組織、社員それぞれが同じ方向を向いた目標を設計することができ、かつスムーズに連動して動くことができます。
したがって、激しい環境変化にも対応できるように、スピード感をもってビジネスを展開することができるようになります。

OKR導入のメリット②:するべきことが明確になる

OKRを導入することで、日々の業務においてするべきことや優先すべきことが明確になります。
基本的に、Objectivesを達成するためにKey Resultsは設計されているので、Key Resultsで設定されている事柄に関連する業務の優先順位が高くなります。

そのため、日々の業務においても、Key Resultsに設定されているかいないかを判断することで「何をするべきか」「何をしなくていいか」が明確になるでしょう。
したがって、やるべきことに集中でき、日々の業務の生産性を向上させることができます。

OKR導入のメリット③:定期的に振り返るため、外部環境の変化にも柔軟に対応できる

OKRは、KPIやMBOなどのほかの目標管理方法とは異なり、速いペースで再評価及び再設計をおこないます。
そのため、ビジネスにおける激しい環境の変化にも柔軟に対応して目標を再整理することができます。
また、OKRでは企業と個人の目標を連動させているので、組織や各社員が向かうべき方向性もあわせて整えることができます。 

OKRとKPI、MBOとの違い

ここではこれまで、さまざまな企業で導入されてきたKPIやMBOといった手法を紹介し、それらがOKRとどう違うのかを紹介します。

OKRとKPIの違い

OKRとKPIの違い
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ここでは、KPIとは何なのか、KPIとOKRはどう違うかについて紹介します。

KPIとは

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取ったもので、重要業績評価指標のことを指します。
具体的には、企業の目標を達成するために、その過程を細分化して測定し、評価するための指標のことを意味します。
基本的には、目標の達成に必要な条件をそれぞれKPI化して、それぞれのKPIが達成されるかどうかを管理します。

つまり、KPIは目標までの道のりを細分化・数値化することで、日々の業務でおこなうべきことを明確にしていく目標管理手法です。
さらにKPIについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事:KPIとは?目標設定に活かす5つのコツ|マーケティングやコールセンターの事例で解説

OKRとKPIの違い

KPIの目的は「プロセス管理」であるのに対して、OKRの目的は「一体感や団結力の醸成」である点に違いがあります。
KPIは、目標を達成するまでのプロセスを分解し、その過程を評価することで達成までの進捗状況を管理することを目的としているのに対して、OKRは目標(Objectives)を細分化して、主要指標(Key Results)として事業やグループ、さらには個人ごとに落とし込むことによってそれぞれの役割を明確にし、企業として一体感を持たせることを目的としています。

OKRとMBOの違い

OKRとMBOの違い
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ここでは、MBOとは何なのか、MBOとOKRはどう違うのかについて紹介します。

MBOとは

MBOとは「Management By Objectives」の頭文字を取ったもので、グループ単位もしくは個人単位で目標を決めて、その達成度に応じて評価し、報酬を決める目標管理手法です。
今日、多くの日系企業でも導入されています。具体的な管理方法としては、直属の上司と期の始まりに目標を決めて、期の終わりにその達成度を評価し、最終的にはそれを組織の業績向上とリンクさせていきます。

OKRとMBOの違い

MBOの目的は「チームまたは個人の成長促進」で、OKRの目的は「一体感や団結力の醸成」であり、それぞれ方向性が異なる管理手法であるところに違いがあります。
MBOに関しては、チームもしくは個人の目標設定、それに対する達成度を上司とともに評価・管理し、チームもしくは個人の成長を促進することによって、それを企業の事業成長にリンクさせていくことを目的としています。
一方で、先ほども述べたように、OKRは企業や組織としての一体感を生み出すことが目的です。

OKRを導入するために踏むべきステップ

OKRの導入ステップ
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ここでは、OKRを導入するうえでどのようなステップを踏む必要があるのか、順を追って紹介します。

OKR導入ステップ①:Objective(目標)を設定する

まず、Objective(目標)の設定をおこないます。
その際には以下の3点に注意しておく必要があります。

1つのObjective(目標)を設定する

Objectiveを設定する際は、1つに絞って定めるのが好ましいです。
Objectiveをいくつも設定してしまうと、チームとしての方向性がブレたり、見失ってしまう可能性があります。

また、Objectiveを設定すると、それを達成するためにKey Resultもいくつか設定することになります。
Objectiveの数に伴い、結果的にKey Resultも多くなってしまい、チームを混乱させてしまうことになるため、Objectiveは1つに絞っておく必要があります。

わくわくするようなObjectiveを設定する

先ほども触れましたが、このOKRでは企業の目標と個人の目標は連動しています。
そのため、従業員がわくわくすると思える目標でなければ、モチベーションを引き上げることができません。

1つ上の階層のOKRに紐づけて設定する

各階層においてOKRを設定するときは、その1つ上階層のOKRに紐づけて設定する必要があります。
組織レベルのOKRを設定する場合はその上位に位置する企業レベルのOKR、個人レベルでOKRを設定する場合はその上位に位置する組織レベルのOKRにそれぞれ紐づけて設定できているかどうかを意識して、個人レベルから企業レベルまでのOKRが上手く連動するようにしておく必要があります。

OKR導入ステップ②:Key Result(主な結果)の設定

次に、Objectiveをもとにそれに準ずるKey Resultを設定します。
このKey Resultを設定する際には、以下の2点に注意しておく必要があります。

具体的な数値目標(定量的な目標)を設定する

Key Resultは定期的に再評価と再設定(振り返り)をおこない、改善していくものです。
そのため、客観的に良し悪しを判断できる指標である必要があります。

期限(いつまでにその目標を達成するのか)を設定する

Key Resultを設定した際には、その目標の期限を定めておく必要があります。
期限を設けることで、その都度Key Resultの見直しをおこない、改善を図る必要があるためです。

OKR導入ステップ③:OKRの共有、調整

Key Resultを設定し終わったら、次はそのOKRを社内、部署内、チーム内で共有し、どこかの部署やチームのOKRの難易度が高過ぎないか、もしくは低過ぎないかなど全ての部署やチームのOKRを調整する必要があります。
また、個人のOKRについても同様で、上司と話し合いながら、そのOKRに異論がないか、チームのOKRとずれていないかなど整合性を取る必要があります。

合わせてこの際、それぞれのOKRが同じ方向を向いているのかどうかを注意しておく必要があります。
OKRは組織に一体感を生み出すことが目的なので、部署、チーム、個人の全てが同じ方向を向いていなければ、結果として意味のないものになってしまいます。

OKR導入ステップ④:定期的な進捗確認、レビュー

次に、設定したOKRを定期的に進捗確認し、順調に進んでいるのか遅れているのかなどをレビューする必要があります。
例えば、上司との1on1ミーティング、チーム内や組織内での話し合いなど、さまざまな方向で定期的にコミュニケーションをとってレビューし合う必要があります。

そうすることで、それぞれの部署やチームの進捗具合を明確にし、部署間やチーム間で目標を調整しなおすことができます。
合わせて、適宜目標を軌道修正することによって、企業や組織、チームの目標に向けてより戦略的に進むことができるようになります。

OKR導入ステップ⑤:成果測定

最後に、設定したOKRをどれほど達成できたか、成果を測定する必要があります。
具体的には達成できたのかできなかったのか、達成率を確認し評価すると同時に、その要因は何だったのかを上司との1on1、チーム内、組織内で振り返ります。
そしてその評価に応じて、次も同じ目標で続けるのか、もしくは目標自体を修正するのかなど、次のOKR設計に活かします。

OKRを運用する際に押さえておきたいポイント

OKRを運用する際に押さえておきたいポイント
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ここでは、OKRを導入・運用する際に押さえておきたい注意点やポイントを紹介します。
事前にこれらの注意点やポイントを把握しておくことで、スムーズにOKRでの目標管理・運用が可能になります。

SMARTを意識してOKRを評価する

「SMART」とは、「Specific」「Measurable」「Achievable」「Relevant」「Time-bound」の頭文字を取ったものです。OKRを設計し、評価する際に「SMART」を意識することで、より効率的でスムーズかつ客観的にOKRの設計及び評価をおこなうことができます。

というのも、この「SMART」というフレームワークはOKRの設計及び評価をおこなう際の明確な基準を与えてくれるからです。下の段落では、それぞれ何を判断する必要があるのかを解説します。

SMART
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Specific(具体的かどうか)

Specificでは、誰でも理解できる、具体的な目標であるかどうかを確認します。

Measurable(測定可能かどうか)

Measurableでは、達成度合を判断できるように、目標が定量化されているかどうかを確認します。

Achievable(達成可能かどうか)

Achievableでは、その目標が現実的に達成可能なのかどうかを確認します。
目標が高すぎても低すぎても従業員のモチベーションを下げかねないので、高すぎず低すぎない、適度に高い目標を掲げる必要があります。

Relevant(経営目標に関連しているかどうか)

Relevantでは、目標自体が経営目標と連動しているかを確認します。
というのも、目標自体が経営目標と関連していなければ、その目標自体が何のためにあるのか、意味を持たなくなってしまうからです。

Time-bound(時間が限られているかどうか)

Time-boundでは、目標を達成するまでの期限が設定されているかを確認します。

企業のOKRから徐々に細分化してそれぞれのOKRを設定する

OKRの目的は企業レベルの目標から個人レベルの目標までをうまく連動させて、企業や組織としての一体感を生み出すことにあります。
したがって、企業のOKRを設定して、そのOKRに紐づいた形でそれぞれ細分化して組織やチームのOKRを設定します。

そして、さらにそこから派生して個人のOKRを設定する必要があります。
仮に、それぞれのOKRがばらばらで連動していなければ、組織として一つの方向を向いて進めなくなってしまい、OKR本来の目的とは相反するものになってしまう可能性があります。
そのため、上位のKey Resultが下位のObjectiveと連動するように、OKRを設定しておく必要があります。

月次、四半期で適宜チェックする

設定したOKRは、 月次、四半期など一定の期間で適宜チェックし、修正やレビューをする必要があります。OKRを設定する際には、通常はその期限も設定しておく必要があります。
設定した期限内に達成できるかどうかを確認するために、一定の期間ごとに進捗状況をチェックし、その状況に応じて部署間やチーム間で目標を調整する必要があります。

お互いのOKRをオープンにしておく

OKRはいつでも誰でもアクセスできるように組織内やチーム内でお互いにオープンにしておくと、より効果的に組織運営がおこなえます。
というのも、互いに進捗を管理したり、それぞれが担っている役割を把握したりして、組織内のメンバーが互いの状況を知っておくことで、風通しのいい組織を作ることができるためです。

またその結果コミュニケーションが活発になって、組織内で革新的なアイデアが生まれるなど、より良い方向に進むこともあるかもしれません。

OKRを活用してみた例

okrを活用してみた例
トルテオ編集部

ここでは、実際に目標管理にOKRを活用した事例を紹介します。今回の事例では、システムを販売するA社の「サービスとしての知名度を上げる」を目標に掲げた場合を想定します。
また、このケースでは簡略化のために、この企業の下にある組織を「マーケティング部門」「営業部門」「カスタマーサクセス部門」の3つに絞ります。

本来は、この部門以下のチームレベル、個人レベルのOKRも設定し、各々の目標が設定されます。
しかし、ここではその端緒として、「企業→事業部」単位でのOKR設定を紹介します。

A社のOKR

はじめにA社のObjectiveを設定します。今回は「サービスとしての知名度を上げること」が目標なので、それをObjectiveとします。
さらに、Objectiveに紐づくKey Resultを「問い合わせを120%増やす」「売上を前年対比120%にする」「エンゲージメント率を70%に引き上げる」の3点に設定します。
この際、Key Resultを達成したらそのObjectiveをきちんと達成できるような、適切なKey Resultを設定しておく必要があります。

マーケティング部門のOKR

続いて、上記の企業のOKRに連動するようにマーケティング部門のOKRを設定します。
マーケティング部門のObjectiveを、A社全体のKey Result「問い合わせを120%増やす」に紐づけて、「認知を拡大し、第一想起されるサービスにする」に設定します。

このObjectiveに合わせて、マーケティング部門の各チームはKey Resultを設定します。
例えば、「運用型広告を用いて初回導入キャンペーンを訴求して接触顧客数5%増加させる」「オウンドメディアを立ち上げ、コンテンツマーケティングを実施し、10万UUを獲得する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

営業部門のOKR

次に、営業部門のOKRを設定します。営業部門のObjectiveは、A社のKey Result「売上を前年対比120%にする」に紐づけて、「エンタープライズ市場へのセールス強化」に設定します。
そして営業部門傘下の各チームは、このObjectiveを達成できるようなKey Resultをそれぞれ設定します。

例えば、「インサイドセールスチームを立ち上げ、注力顧客を明確化し、受注率を5%増加する」「エンタープライズ企業専任チームを組織し、エンタープライズ市場で5,000万円の売上を達成する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

カスタマーサクセス部門のOKR

最後にカスタマーサクセス部門のOKRも企業のOKRに連動させます。
カスタマーサクセス部門のObjectiveをA社全体のKey Result「エンゲージメント率70%に引き上げる」に紐づけて、「顧客の期待に応えるコアなファンを創る」に設定します。

このObjectiveに合わせて、カスタマーサクセス部門の各チームはKey Resultを設定します。
例えば、「受注後の導入支援において、平均運用開始日数を3日短縮する」「戦略顧客に対してフォロー施策を実施し、リピート率を90%に維持する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

OKRを活用して、組織の生産性を向上させよう

ここまでOKRの概要や特徴、OKRの導入メリット、導入ステップなどを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
改めてですが、OKRとは企業、事業、部署、チーム、個人の全ての目標を連動させて、組織に一体感を生み出すための目標管理手法です。
組織に一体感が生まれることで、結果的に組織の生産性が向上するかもしれません。
目標管理方法1つで会社の雰囲気を変えるきっかけになる可能性もあるので、ぜひOKRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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