OKRとは?Googleが採用した目標設定の導入までの流れを解説

GoogleやFacebookなど、シリコンバレーの一流企業が導入している目標管理手法であるOKR。
これまでKPIやMBOで目標を管理してきたものの、全社の方向性に紐づかなかったり、売上に直結しなかったり、正しく機能していないこともあるのではないでしょうか。
今回は、OKRの概要や特徴、KPIやMBOとの違いを解説します。従来の目標設定に違和感を感じている方は、OKRについてここで確認しておきましょう。

更新日:2020.3.16

【Googleも採用】OKRとは

【図解】OKRとは
トルテオ編集部

OKRとは、GoogleやFacebookなどのシリコンバレーの一流企業が導入している、目標設定および管理のための手法です。
OKRは、「Objectives and Key Results」の頭文字を取ったものであり、日本語では「目標と成果指標」と表します。企業や各組織で目標(Objectives)を掲げ、その達成のために必要な要素を細分化して主要指標(Key Results)として設定します。それをさらに事業や部門、部門、チーム、個人ごとに細分化して落とし込んでいきます。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリット
©Rawpixel.com – shutterstock

Googleが採用したOKRという目標設定を導入することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、OKRを導入するメリットを2つの視点から解説していきます。

会社と組織、社員それぞれの目標を連動させやすくなる

OKRを設定する際は、会社のOKRを設定し、そのOKRに紐づくように部署や組織のOKRを設定し、さらにそれに紐づくように各社員のOKRを設定します。そのため、会社や組織、社員がそれぞれ同じ方向を向いた目標を設計することができ、かつスムーズに連動して動くことができます。
したがって、激しい環境変化にも対応できるように、スピード感をもってビジネスを展開することができるようになります。

するべきことが明確になる

OKRを導入することで、日々の業務においてするべきことや優先すべきことが明確になります。
基本的に、Objectivesを達成するためにKey Resultsは設計されているので、Key Resultsで設定されている事柄に関連する業務の優先順位が高くなります。そのため、日々の業務においても、Key Resultsに設定されているかいないかを判断することで「何をするべきか」「何をしなくていいか」が明確になるでしょう。
したがって、やるべきことに集中でき、日々の業務の生産性を向上させることができます。

OKRとKPI、MBOとの違い

OKRとMBOの違い
©OpturaDesign – shutterstock

これまで、OKRとはどのようなものなのかを解説してきました。
OKRを取り入れていない方でも、KPIやMBOといった目標設定の指標を取り入れている方はいるのではないでしょうか。ここでは、OKRがKPIやMBOとどのように違うのかを紹介します。

KPIとは

OKRとKPIの違い
©patpitchaya – shutterstock

KPIとは「Key Performance Indicator」の頭文字を取ったもので、重要業績評価指標のことを指します。企業の目標を達成するために、その過程を細分化して測定し、評価するための指標のことを意味します。
基本的には目標の達成に必要な条件をそれぞれKPI化して、それぞれのKPIが達成されるかどうかを管理します。つまり、KPIは目標までの道のりを細分化・数値化することで、日々の業務でおこなうべきことを明確にしていく目標管理手法です。

MBOとは

OKRとMBOの違い
©OpturaDesign – shutterstock

MBOとは「Management By Objectives」の頭文字を取ったもので、グループ単位もしくは個人単位で目標を決めて、その達成度に応じて評価し、報酬を決める目標管理手法です。今日、多くの日系企業でも導入されています。具体的な管理方法としては、直属の上司と期の始まりに目標を決めて、期の終わりにその達成度を評価し、最終的にはそれを組織の業績向上とリンクさせていきます。

OKRとKPI、MBOとの違い

項目 OKR KPI MBO

目的

組織・個人における目標管理と評価

目標達成に向けた指標の細分化と測定

組織・個人における目標管理と評価

期間

四半期など

目標設定期間による

毎月・四半期など

対象範囲

全社から個人まで

目標設定による

全社から個人まで

評価軸

定性的・定量的

定量的

定性的・定量的

振り返り頻度

毎週、毎月、毎四半期など

毎月、毎週、毎日など

毎週、毎月など

達成水準

60~70%

100%

100%

OKRを導入するために踏むべきステップ

OKRの導入ステップ
©Monster Ztudio – shutterstock

これまで、OKRがどのようなものなのか、KPIやMBOとはどのように違うのかを解説してきました。ここからは、OKRの導入を検討している方に向けて、導入するために踏むべきステップを5段階に分けて解説します。

OKR導入ステップ①:Objective(目標)を設定する

まず、Objective(目標)の設定をおこないます。Objectiveを設定するときは、以下の3点に注意しておく必要があります。

Objective(目標)を1つに絞って設定する

Objectiveを設定する際は、1つに絞って設定するのが好ましいです。
Objectiveをいくつも設定してしまうと、チームとしての方向性がブレたり、見失ってしまう可能性があります。

また、Objectiveを設定すると、それを達成するためにKey Resultもいくつか設定することになります。
Objectiveの数に伴い、結果的にKey Resultも多くなってしまい、チームを混乱させてしまうことになります。そのため、Objectiveは1つに絞っておく必要があります。

社員がわくわくするようなObjectiveを設定する

先ほども触れましたが、このOKRでは企業の目標と個人の目標は連動しています。
そのため、従業員がわくわくすると思える目標でなければ、モチベーションを引き上げることができません。個人のKey Resultを達成することで見える世界観を込めたObjectiveを設定するために、じっくりと協議を重ねておきましょう。

1つ上の階層のOKRに紐づけて設定する

各階層においてOKRを設定するときは、その1つ上階層のOKRに紐づけて設定する必要があります。
組織レベルのOKRを設定する場合はその上位に位置する企業レベルのOKR、個人レベルでOKRを設定する場合はその上位に位置する組織レベルのOKRに紐づけて設定していきます。
この紐付けが上手く連動していないと、全社で掲げる目標に対してずれた成果が出ることになってしまいます。それぞれのOKR設定にズレがないよう、入念に確認しておきましょう。

OKR導入ステップ②:Key Result(主要指標)の設定

次に、Objectiveをもとにそれに準ずるKey Resultを設定します。
このKey Resultを設定するとき、以下の2点に注意しておく必要があります。

具体的な数値目標(定量目標)を設定する

Key Resultは定期的に再評価と再設定(振り返り)をおこない、改善していくものです。
再評価と再設定をおこなうためには、目標に対して実績がどうだったのか、難易度が適切だったのかといった目標と実績のギャップを可視化する必要があります。
目標と実績のギャップを可視化するために、客観的に良し悪しを判断できる数値目標を設定する必要があります。

期限(いつまでにその目標を達成するのか)を設定する

Key Resultを設定した際には、その目標の期限を定めておく必要があります。
目標を設定した場合、いつまでにそれを達成するのかを定めておくことで、進捗が追いついているのかどうか、客観的に判断することができます。
期限に対しての進捗を都度確認してKey Resultの見直しをおこない、改善を繰り返す必要があります。

OKR導入ステップ③:OKRの共有、調整

ObjectiveとKey Resultを設定し終わったら、次はそのOKRを社内、部署内、チーム内で共有します。その際、どこかの部署やチームのOKRの難易度が高過ぎないか、もしくは低過ぎないかなど、全ての部署やチームのOKRを調整していきます。
また、個人のOKRについても同様で、設定したOKRに異論がないかを上司と議論していきます。また、チームのOKRとずれていないかなど、整合性を取ることも必要です。

OKR導入ステップ④:定期的な進捗確認、レビュー

次に、設定したOKRを定期的に進捗確認し、順調に進んでいるのか遅れているのかなどをレビューする必要があります。
例えば、上司との1on1ミーティング、チーム内や組織内での話し合いなど、さまざまな方向で定期的にコミュニケーションをとってレビューし合う必要があります。

そうすることで、それぞれの部署やチームの進捗具合を明確にし、部署間やチーム間で目標を調整しなおすことができます。
また、適宜目標を軌道修正することによって、企業や組織、チームの目標に向けてより戦略的に進むことができるようになります。

OKR導入ステップ⑤:成果測定

最後に、設定したOKRをどれほど達成できたか、成果を測定する必要があります。
具体的には達成できたのかできなかったのか、達成率を確認し評価すると同時に、その要因は何だったのかを上司との1on1、チーム内、組織内で振り返ります。
そしてその評価に応じて、次も同じ目標で続けるのか、もしくは目標自体を修正するのかなど、次のOKR設計に活かします。

OKRを運用する際に押さえておきたいポイント

OKRを運用する際に押さえておきたいポイント
©blocberry – shutterstock

ここでは、OKRを導入・運用する際に押さえておきたい注意点やポイントを紹介します。事前にこれらの注意点やポイントを把握しておくことで、スムーズにOKRでの目標管理・運用が可能になります。

SMARTを意識してOKRを評価する

SMARTの法則
トルテオ編集部

「SMART」とは、「Specific(具体性)」「Measurable(計量性)」「Assignable(割当設定)」「Realistic(実現可能性)」「Time-related(期限)」の頭文字を取ったものです。
OKRを設計し、評価する際に「SMART」を意識することで、より効率的でスムーズかつ客観的にOKRの設計及び評価をおこなうことができます。というのも、この「SMART」というフレームワークはOKRの設計及び評価をおこなう際の明確な基準を与えてくれるからです。

SMARTの法則について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

全社のObjectiveに紐づくようにOKR設定する

OKRの目的は企業レベルの目標から個人レベルの目標までをうまく連動させて、企業や組織としての一体感を生み出すことにあります。したがって、企業のOKRを設定して、そのOKRに紐づいた形でそれぞれ細分化して組織やチームのOKRを設定します。さらにそこから派生して、個人のOKRを設定する必要があります。

仮にそれぞれのOKRがばらばらで連動していなければ、組織として一つの方向を向いて進めなくなってしまい、企業が掲げる目標と異なる結果に辿り着いてしまいます。そのため、上位のKey Resultが下位のObjectiveと連動するように、OKRを設定しておく必要があります。

月次、四半期で適宜チェックする

設定したOKRは月次、四半期など一定の期間で適宜チェックし、修正を加える必要があります。また、OKRを設定する際は、その期限も設定しておく必要があります。
設定した期限内に達成できるかどうかを確認するために、一定の期間ごとに進捗状況をチェックし、その状況に応じて部署間やチーム間で目標を調整する必要があります。

お互いのOKRをオープンにしておく

OKRはいつでも誰でもアクセスできるように組織内やチーム内でお互いにオープンにしておくと、より効果的に組織運営がおこなえます。
というのも、互いに進捗を管理したり、それぞれが担っている役割を把握したりして、組織内のメンバーが互いの状況を知っておくことで、風通しのいい組織を作ることができるためです。

また、その結果コミュニケーションが活発になり、組織内で革新的なアイデアが生まれるなど、より良い方向に進むこともあるかもしれません。

OKR活用の具体例

okrを活用してみた例
トルテオ編集部

ここでは、実際に目標管理にOKRを活用した事例を紹介します。今回の事例では、システムを販売するA社の「サービスとしての知名度を上げる」を目標に掲げた場合を想定します。
また、このケースでは簡略化のために、この企業の下にある組織を「マーケティング部門」「営業部門」「カスタマーサクセス部門」の3つに絞ります。

本来は、この部門以下のチームレベル、個人レベルのOKRも設定し、各々の目標が設定されます。
しかし、ここではその端緒として、「企業→事業部」単位でのOKR設定を紹介します。

A社のOKR

はじめにA社のObjectiveを設定します。今回は「サービスとしての知名度を上げること」が目標なので、それをObjectiveとします。
さらに、Objectiveに紐づくKey Resultを「問い合わせを120%増やす」「売上を前年対比120%にする」「エンゲージメント率を70%に引き上げる」の3点に設定します。
この際、Key Resultを達成したらそのObjectiveをきちんと達成できるような、適切なKey Resultを設定しておく必要があります。

マーケティング部門のOKR

続いて、上記の企業のOKRに連動するようにマーケティング部門のOKRを設定します。
マーケティング部門のObjectiveを、A社全体のKey Result「問い合わせを120%増やす」に紐づけて、「認知を拡大し、第一想起されるサービスにする」に設定します。

このObjectiveに合わせて、マーケティング部門の各チームはKey Resultを設定します。
例えば、「運用型広告を用いて初回導入キャンペーンを訴求して接触顧客数5%増加させる」「オウンドメディアを立ち上げ、コンテンツマーケティングを実施し、10万UUを獲得する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

営業部門のOKR

次に、営業部門のOKRを設定します。営業部門のObjectiveは、A社のKey Result「売上を前年対比120%にする」に紐づけて、「エンタープライズ市場へのセールス強化」に設定します。
そして営業部門傘下の各チームは、このObjectiveを達成できるようなKey Resultをそれぞれ設定します。

例えば、「インサイドセールスチームを立ち上げ、注力顧客を明確化し、受注率を5%増加する」「エンタープライズ企業専任チームを組織し、エンタープライズ市場で5,000万円の売上を達成する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

カスタマーサクセス部門のOKR

最後にカスタマーサクセス部門のOKRも企業のOKRに連動させます。
カスタマーサクセス部門のObjectiveをA社全体のKey Result「エンゲージメント率70%に引き上げる」に紐づけて、「顧客の期待に応えるコアなファンを創る」に設定します。

このObjectiveに合わせて、カスタマーサクセス部門の各チームはKey Resultを設定します。
例えば、「受注後の導入支援において、平均運用開始日数を3日短縮する」「戦略顧客に対してフォロー施策を実施し、リピート率を90%に維持する」といったKey Resultを設定することが挙げられます。

OKRを学ぶうえでのおすすめ書籍

書籍
©LeicherOliver – shutterstock

最後に、OKRについて学習できる書籍を3つ紹介します。初心者向けから上級者向けまで段階的に紹介しているので、自身のOKRに対する理解度にあわせて選んでみてください。

初心者向け:最短最速で目標を達成するOKRマネジメント入門

本書は、永和システムマネジメント社の天野氏が書いた書籍です。GoogleやFacebookが取り入れているOKRを理解しやすいよう、多くの図解を用いて解説しています。
OKRの基本的な概念や導入方法、OKRの設定方法など、OKRを用いて目標管理をおこなううえで必要な知識を体系的に学ぶことができます。
これからOKRを取り入れていきたいと考えている人は本書をもとに学習を進めていくと良いでしょう。

最短最速で目標を達成するOKRマネジメント入門
  • 著 者天野勝
  • 出版社かんき出版
  • 発売日2019/2/20

中級者向け:成長企業は、なぜOKRを使うのか?

本書は、Googleで人材開発を担ったピョートル氏が書いた書籍です。
こちらもこれからOKRを導入するという方に向けて書かれた書籍ですが、OKRの基本的な考え方を理解したうえで手に取ると良いでしょう。

本書では、OKRをただ薦めるだけでなく、組織による向き不向きや導入事例もしっかりと書かれています。OKRの導入を迷っていて、OKRについて詳しい情報が欲しいと考えている人におすすめの書籍です。

成長企業は、なぜOKRを使うのか?
  • 著 者ピョートル・フェリクス・グジバチ
  • 出版社ソシム
  • 発売日2019/7/1

上級者向け:Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR

本書は、GoogleやAmazon、Twitterなど、世界的企業に初期段階から投資をおこなっているベンチャー・キャピタルの投資家であるパーキンス氏と、Google共同創業者のラリー・ペイジ氏が共同で書いた書籍です。

400ページにわたり、「野心と創造力を最大限に解き放つ」「やるべきときに、やるべきことに集中する」「見当違いな仕事を洗い出す」といったシンプルで確実な方法を仕組みで解決できるOKRについて詳細に記されています。

本質的にOKRを理解し、自身の思考に取り組みたいと考えている人は手に取ってみても良いかもしれません。

Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR
  • 著 者ジョン・ドーア、ラリー・ペイジ
  • 出版社日本経済新聞出版社
  • 発売日2018/10/16

OKRを活用して、組織の生産性を向上させよう

ここまでOKRの概要や特徴、OKRの導入メリット、導入ステップなどを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
OKRとは企業、事業、部署、チーム、個人の全ての目標を連動させて、組織に一体感を生み出すための目標管理手法です。組織に一体感が生まれることで、結果的に組織の生産性が向上するでしょう。
目標管理方法1つで会社の雰囲気を変えるきっかけになることもあるので、ぜひOKRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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