給与前払いとは?デメリットや注意点、主要サービスを紹介!

給与前払いは、自由なタイミングで給与の一部を受け取れるため従業員からのニーズが高く、福利厚生の一つとして導入する企業も増えてきました。給与前払いには、企業側にとっても従業員側にとってもさまざまなメリットがありますが、デメリットや導入する際の注意点もあります。この記事では、給与前払いの概要や仕組み、メリットやデメリットなどを解説します。おすすめの給与前払いサービスについても紹介するので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

更新日:2021.6.15

給与前払いとは?

給与の前払いは、企業側からも従業員側からも注目されている支払い方法の一つです。
前払いに関する手続きを全て手作業でおこなうとかなりの手間がかかりますが、給与前払いサービスを導入することで手続きをシステム化することができます。

ここでは、給与前払いの概要や、給与前払いサービスの仕組みなどについて詳しく解説していきます。

給与前払いとは働いた分の給与を規定の給料日より前に支払うこと

給与前払いとは、従業員からの申請があった際に、労働実績に応じて規定の給料日より前に、給与の一部を支払うことです。前払いした場合、残りの給与は規定の給料日に支払います。

「前借り」と混同されることも多いのですが、給与前払いは全く異なるものです。前借りとは、まだ働いていない分の給与を、働いてくれるだろうと想定して先に支払うことです。給与の前借りは、持ち逃げのリスクがあるだけでなく、そもそも労働基準法違反となる恐れがあります。

一方、給与前払いにおいては、従業員はすでに働いた分の給料しか受け取ることができません。給与前払いは、給与の受け取り方を多様化してほしいという従業員のニーズを、リスクを伴わずに実現できる仕組みといえるでしょう。

給与前払いサービスとは前払いの手続きを効率化するシステム

給与前払いサービスとは、面倒な前払いの手続きを効率化してくれるシステムのことです。
人材不足や働き方改革が進むなか、従業員の福利厚生を充実させるために給与前払いに注目している企業も多いですが、実際に導入するのは簡単ではありません。

給与前払いに対応するためには、従業員一人ひとりの勤怠情報を把握したうえで、前払いできる給与を計算する必要があります。従業員から前払いの申請があった場合は、その金額を支払い、規定の給料日には残りの分を計算して支払わなければなりません。

これらを全て手作業で対応すると、かなりの時間と工数がかかります。そこで給与前払いサービスを利用すれば、申請の受付や支払い、残りの給料の計算などを自動化できるため、手間をかけずに給与前払いを導入できます。

給与前払いサービスの市場規模は拡大しつつある

給与前払いサービスの導入を進める企業が増えてきたこともあり、その市場規模は拡大しつつあります。銀行やIT系の企業などが新しいシステムを開発しており、さまざまな機能が搭載された給与前払いサービスが提供されるようになりました。

また、スマートフォンアプリから簡単に前払い申請をできる、最短で即日に給与の一部を受け取れるなど、便利な機能も増えてきています。今後はさらに新しいサービスが開発されたり、便利機能が追加されたりすることも予想されます。

一般的な給与前払いサービスの仕組み

給与前払いサービスを利用する際は、従業員の勤怠情報や給与情報をサービス提供会社と共有します。
従業員が前払いを希望する場合は、PCやスマートフォンからシステムにログインして申請します。
そして、申請が受け付けられると、提携している金融機関から従業員の口座へ給与の一部が振り込まれる、というのが一般的な給与前払いサービスの仕組みです。

給与前払いサービスを利用するためには、導入費用や月額利用料を支払う必要があります。さらに、従業員は申請時に振込手数料を支払うケースが多いため、それぞれの費用については導入前に確認しておきましょう。

給与前払いのニーズを3つのポイントで解説

働き方の多様化や人手不足などの影響により、給与前払いのニーズは高まってきました。給与前払いも含め、福利厚生が充実していないという理由で、せっかく雇用・教育した従業員が退職してしまうのは、企業にとって大きな損失です。ここでは、給与前払いのニーズが高い理由や、ニーズが高まっている背景について詳しく解説します。

1. 働き方やライフスタイルが多様化した

働き方やライフスタイルが多様化したことは、給与前払いのニーズが高まった理由の一つです。正社員や終身雇用を希望する人ばかりではなく、より柔軟なライフスタイルを実現するために、パートやアルバイトといった雇用形態を選ぶ人も増えてきました。

とはいえ、正社員と比較すると、パートやアルバイトの収入は低くなりがちです。しっかりとお金の管理をしていても、冠婚葬祭やライフイベントなどによって急な出費が重なり、困ることもあるでしょう。

給与前払いは、さまざまな雇用形態の従業員をお金の面でサポートする仕組みの一つです。給与前払いが導入されていれば、上限はあるものの、従業員は給料日前の急な出費にも対応できます。給与前払いは、従業員の生活を安定させるためのセーフティーネットや福利厚生といえるでしょう。

2. 貯金の少ない世帯が増加した

貯金の少ない世帯が増えてきたことも、給与前払いのニーズが高まっている理由の一つです。とくに入社したばかりの20代は、貯蓄が少ない人も多いでしょう。30代の単身者でも、ほとんど貯金がないという人も増えてきました。

貯金がない場合、給料日前に生活費がなくなってしまうと、親や友人からお金を借りることになります。キャッシングサービスや消費者金融を利用する人もいるでしょう。最悪の場合、高額な利子を払い切れず、カード破産や金銭的なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

企業が給与前払いサービスを導入していれば、生活費が足りなくなったときにすぐにお金を受け取れます。働いた分の給与が上限であるため、安全な範囲でお金を受け取れるのも大きなポイントです。従業員の生活をサポートするため、金銭的なトラブルによる離職を防ぐために給与前払いサービスを導入する企業も増えてきました。

3. 優秀な人材を確保するのが難しくなった

少子高齢化や労働者不足により、優秀な人材を確保するのが難しくなったことも、給与前払いのニーズが高まった背景といえるでしょう。人材の確保がうまく進まず、人手不足に悩む企業も増えてきました。より高い給料やよりよい職場環境を希望して転職する人が多いことも、企業が人材確保に苦しむ理由の一つです。

給与前払いは、人材を確保するための手段として注目されています。前述のとおり、給与前払いは従業員からの高いニーズがあります。求人サイト上でも「前払い可」や「日払い可」といった条件で検索されることが多いため、求職者へアピールするために、給与前払いを導入する企業も増えています。

給与前払いを導入することは、新しい社員を効率的に集めるだけでなく、優秀な人材を定着させることにもつながります。定着率の向上や求人応募数の増加を図るため、今後も給与前払いを導入する企業は増えていくでしょう。

給与前払いサービス導入のメリット

ここまで、給与の前払いとそのサービスついて説明してきましたが、実際に給与の前払いサービスを活用することでどのような効果がもたらされるのでしょうか。
ここからは、給与前払いサービスを活用するメリットについて紹介します。

求人応募数の増加

人手不足が進む今日、必要な人材が集まらず苦戦している企業も多いのではないでしょうか。
そんな人材確保に悩む企業の一助となるのが給与の前払いサービスです。
特に、アルバイト求人サイトにおいては、「日払い」という検索キーワードは常に上位にランクインしています。

そして、「日払い可能」というキーワードを求人募集の福利厚生欄などに記載するだけで求人の応募数が増加するといわれています。

このように、多くの従業員は「日払い」といったような必要な時に給与を受け取ることができる環境を望んでいます。給与前払いサービスを導入することで、給与形態において他社との差別化をすることができ、必要人材の確保を有利に進めることができます。

従業員の離職防止

従業員が離職することで、新たな人材確保のためにコストが生じるだけでなく、自社で育てるはずだった人材を失うことになります。そこで給与前払いサービスを導入することで、従業員の離職を防ぐことも期待できます。

なぜなら上記で紹介したように、現在、アルバイトの求人市場において「日払い」というキーワードが注目を集めています。給与前払いサービスによって「日払い」を可能にすることで、アルバイト従業員の定着そして離職防止が期待できます

また、仕事を掛け持ちをしている従業員は、給与の前払いがある勤務先と給与の前払いがない勤務先では前者のほうを優先してシフトを入れる傾向にあるといわれています。

採用コストの削減

採用活動をするためには多くのコストが掛かります。
たとえば、求人広告の掲載費や説明会の運営費、応募者対応や面接でかかる人事担当の人件費などです。

給与前払いサービスを導入することで、1回の求人での応募数が増えることが期待できるため、何度も募集をかけなくても必要な人材の確保ができるようになります。
また、定着率を上げることができれば採用活動の回数自体を減らすことができ、採用コストの削減につながります。

給与前払いの3つのデメリット

給与前払いには多くのメリットがある一方で、デメリットもあるため注意が必要です。
ここでは、給与前払いの3つのデメリットを紹介します。給与前払いを導入する前にチェックしておきましょう。

1. ある程度の資金を準備しておく必要がある

給与前払いを導入する場合、従業員からの前払い申請に備えて、常にある程度の資金を確保しておく必要があります。従業員の人数や給与に応じて、一定の資金を残しておかなければ、前払いの申請を受け付けても給与を支払うことができません。

資金繰りに余裕のある会社であれば問題ありませんが、資金に余裕がない場合、仕入れが苦しくなったり、新たな設備投資ができなくなったりする可能性もあるため注意が必要です。給与前払いの仕組みは、ある程度の余裕がある会社に向いているといえます。

2. 給与前払いサービスを導入するためにはコストがかかる

給与前払いを社内で運用するためにはかなりの工数がかかるため、導入する場合は、人の手で管理するよりも、給与前払いサービスを利用するほうが簡単で安心です。
ただし、給与前払いサービスを利用する場合は、初期費用や月額利用料、前払い申請時の手数料などがかかるため注意しましょう。

前払い申請時の手数料は基本的に従業員が負担しますが、初期費用や月額利用料は企業側が負担します。かかる費用は給与前払いサービスによって異なるため、どの程度の費用がかかるのか、本当にサービスを導入すべきか、といったポイントについて慎重に検討することが大切です。

3. 従業員が給与前払いを利用しすぎてしまう可能性もある

給与前払いには、企業側だけでなく従業員側のデメリットもあります。給与前払いによりお金を使いすぎてしまう可能性があることは、従業員にとってのデメリットといえるでしょう。計画的に給与の前払いを利用することは問題ありませんが、すぐにお金を受け取りたいからといって、前払いを利用しすぎると、当然、規定の給料日に受け取る金額が減ってしまいます。

前払い申請には手数料がかかるケースも多いため、利用した回数分、損をするともいえます。給与前払いを導入したことで、従業員がお金に困ってしまっては意味がありません。
従業員側が使いすぎないよう、前払いできる金額の上限や回数を企業側で設定できるシステムも提供されているため、うまく活用するとよいでしょう。

給与前払いサービスを選ぶときの注意点

多くのメリットのある給与前払いサービスですが導入の際にはいくつか注意しておくと良い点があります。
ここからは、給与前払いサービスを選ぶときに押さえておきたい4つの注意点について紹介します。

サービスを運用する上での使いやすさや利便性

1つ目の注意点は、企業にとって使いやすく、便利なサービスであるかという点です。
先にも紹介したように、前払いを実現しようとする場合、企業には多くの工数が掛かります。そのため、企業にとって使いやすいサービスであれば、無駄な工数をかけることなく運用することができます。

導入に伴い、自社が準備しておくべきことや、前払いサービス運用の際に請け負ってもらえる範囲をきちんと確認する必要があります。
また、サポート体制が整っているサービスであれば、運用に困った際でもすぐに解決を手助けしてくれるので、サポート体制についても必ず確認しておきましょう。

さらに、円滑に前払いサービスを活用するためには、勤怠管理システムや給与計算システム、給与の支払い先の銀行などがサービスと連携ができるかどうかが重要です。
自社が利用している勤怠管理システムや給与計算システムと給与前払いサービスを連携できれば、大幅に工数を削減することができます。

企業側の導入コストと運用コスト

2つ目の注意点は、前払いサービスを導入する際にどのくらいのコストがかかるのかという点です。
通常、給与前払いサービスを利用する際には、導入コストと運用コストがかかります。導入コストは通常サービスの利用開始にかかる費用で、サービスによって無料のものから数十万円かかるものまであります。

運用コストは導入後のシステム運用のためにかかる費用で、月額でかかる場合がほとんどです。月額で無料のものから数万円のものまであります。
給与前払いサービスを導入する際には、給与前払いに関して削減できる工数や従業員の満足度などを考慮して、費用対効果の高いものを選ぶ必要があります。

従業員側が負担する手数料

給与前払いサービスでは多くの場合、従業員が手数料を負担することになります。この手数料は、給与の前払いを申請して利用した際に生じます。

この手数料があまりにも高いと、従業員にとってサービスを利用しづらくなってしまいます。
サービスを導入しても、従業員が利用しやすいものでなければ意味がありません。そのため、従業員が負担する手数料についても注意しておく必要があります。

従業員の給与受け取りの自由度の高さ

給与前払いサービスを活用することで、企業は給与前払い処理にかかる工数を削減しながら、今まで以上に従業員の給与受け取りの自由度を高めることができます。
そのため、365日24時間、PCやスマートフォンからの申請に自動対応できるかどうか確認しておくと良いでしょう。

また、従業員が前払い給与を受け取る際に、給与を受け取れる口座が指定されているなど受け取りの方法が制限されないか確認する必要があります。

おすすめ給与前払いサービス3選

給与前払いを導入する企業が増えてきたこともあり、さまざまなサービスが開発されています。
ここでは、おすすめの給与前払いサービスとして、enigma pay(エニグマペイ)、RiLTA(リルタ)、楽天早トク給与の3つをピックアップして紹介します。それぞれの特徴や機能などを解説しているので、確認しておきましょう。

enigma pay(エニグマペイ)

enigma
HPより

enigma payの詳細はこちら

enigma payは、enigma社によって提供されている給与前払いサービスです。
第2回HRテクノロジー大賞「注目スタートアップ賞」を受賞しており、業界でも注目されているサービスです。導入している企業も多く、求人のエントリー数3.7倍、従業員の定着率4%向上といった実績もあります。

数十人の小さな企業から数万人規模の大企業まで、幅広い企業に対応できるのが大きな特徴です。従業員が給与の前払い申請をすると、enigma payから企業側へ振込依頼が送信されます。その後、企業名義の口座より、システムを通して申請された金額が振り込まれるという仕組みです。各種の銀行システムと連携しているため、企業側で振込手続きをする必要はありません。従業員から申請があると自動的に振込の処理が進められます。

また、管理画面がシンプルで使いやすいこともenigma payの大きな特徴です。PCが苦手な人でも簡単に操作できるでしょう。カスタマーセンターによる導入後のサポートやエンジニアによるシステムサポートも充実しているため、問題が起こってもすぐに解決してもらえます。

RiLTA(リルタ)

RiLTA
HPより

RiLTA(リルタ)は、リコーリース社が提供している給与前払いサービスです。
企業側の管理画面はわかりやすく、誰でも使いやすいように設計されています。

毎日の勤怠実績の登録や、従業員の利用実績の出力なども簡単です。勤怠管理システムとはシームレスに連携できるため、管理の手間もかかりません。また、従業員ごとに1カ月に前払い申請できる回数を設定できるため、お金を使いすぎることも避けられるでしょう。

従業員側の操作も簡単です。給与の前払いを希望する場合は、スマートフォンから専用のWebサイトへアクセスして、すぐに申請できます。アプリのダウンロードやインストールも不要です。
メンテナンスなどのタイミングを除けば、24時間365日いつでも利用でき、最短で即日入金されるため、ライフイベントなどで急にお金が必要になった場合でも困ることはありません。

3. 楽天早トク給与

楽天早トク給与
HPより

楽天早トク給与は、楽天カード社が提供している給与前払いサービスです。
楽天銀行口座を利用して給与を受け取る場合は、楽天ポイントが貯まるというメリットがあります。

導入企業としては、勤怠データを連携するだけで楽天早トク給与のシステムにすぐに反映されるため、導入の手間がかかりません。従業員ごとに前払い申請額の上限を設定できるため、金銭的なリスクを抑えつつ運用できるでしょう。

導入時や導入後のサポートも充実しています。システムの使い方や前払い申請の方法などについて疑問がある場合は、コールセンターに問い合わせ可能なため、初めて給与前払いサービスを導入する場合でも安心です。

給与前払いサービスを導入する企業は増加している

いかがでしたか。給与前払いサービスは年々、市場規模を拡大しています。また、サービスを導入することで、求人応募数の増加や従業員満足度の上昇が期待できます。ただし、今回紹介したデメリットや注意点についてもしっかりと把握しておくようにしましょう。

自社の採用やモチベーション管理に課題をお持ちの方は、給与前払いサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、こちらの記事では、今回紹介したもの以外にもさまざまな給与前払いサービスを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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