プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり

さまざまなお店でプライベートブランドと呼ばれる商品が発売されています。「なんとなく安いから」「店頭でおすすめされているから」などそんなに深く考えずに商品を買っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、プライベートブランドについて紹介します。普段何気なく手にとっている商品も見え方が変わるかもしれません。

プライベートブランド(PB)とは?

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
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プライベートブランドとは、小売業者によって商品企画がおこなわれたブランドのことです。なかには、小売業者が商品開発まで主導権をとって、おこなわれるケースもあります。
また店舗の名前がそのまま商品のブランド名になることもあり、「ストアブランド」と呼ばれることもあります。
現在、スーパーやコンビニ、アパレル、ホームセンターなどさまざまな業界でプライベートブランドの商品が展開されています。

プライベートブランドとナショナルブランドの違い

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
トルテオ編集部

そもそも商品が消費者に届くまでには、商品の企画、開発、生産、物流、宣伝活動、販売という流れが発生します。
ナショナルブランド商品は、商品の企画から宣伝活動までをメーカー自身が担当し、小売店はメーカーから商品を仕入れ、販売をおこないます。それに対して、プライベートブランド商品は、小売業者によって商品の企画がおこなわれ、メーカーが開発・生産をします。場合によっては、小売業者が商品開発にまで深く関わることもあります。そうして作られた商品は、小売店に並び、小売業者が自ら宣伝活動をおこないます。
このように、プライベートブランドとナショナルブランドでは、商品の企画が異なるため、生産や宣伝などその後の工程が異なります。
また、プライベートブランドを略して「PB」と呼ばれるのに対して、ナショナルブランドは「NB」と略して呼ばれることもあります。

食品のプライベートブランド、製造元は?

従来のプライベートブランド商品の中には、製造元情報の代わりに製造所固有記号が記載されているものも多く存在しました。特に食品に関しては、具体的な製造元がわからない点からプライベートブランドの商品に不安を感じるという声も存在していたようです。
しかし、消費者庁は2015年に新食品表示法を定め、すべての加工食品に製造者や製造元の所在地などの表示を義務付けるようにしました。完全移行は2021年4月です。
したがって、消費者が今まで抱えていた食品の製造元に対する不安は解消されるといえます。

プライベートブランドとOEMの違い

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
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上記で紹介したように、プライベートブランドとは、小売業者によって企画開発後、製造メーカーで生産されて、販売される商品やブランドのことを指します。
対して、OEMとは製造メーカーが他社メーカーの商品を製造する生産方式のことを指します。つまり、プライベートブランドは商品やブランドであり、OEMは商品を製造する生産方式ということです。

OEMを導入して生産を発注をする側のメーカーは、自社生産をおこなわないため自社工場が必要なく、生産過程でコストを抑えることができます。また自社にはない技術を持っている他社の高い技術を使って商品を作れるというメリットもあります。
一方で、生産の注文を受けた側のメーカーは、生産量を増やすことができ、自社の生産ラインの空きを抑えることができます。これにより稼働率の維持や向上の期待ができます。
主に、自動車や化粧品、携帯電話などの商品を生産する際にOEMが導入されています。

プライベートブランドのメリット

ここでは、プライベートブランドのメリットに関して、小売店、メーカー、消費者の三者の立場から紹介します。

小売店のメリット①:小売店で価格を決定できる

小売店がプライベートブランドを展開するときの大きなメリットとして、価格決定権を持てることが挙げられます。小売店はメーカーから商品を仕入れる際に、販売個数や在庫の対応などいろいろな取り決めをすることがあります。その1つに、最低販売価格があります。この取り決めがある場合、小売店は自由に価格を決定することができません。
一方、プライベートブランド商品の販売価格は、小売店の判断で自由に決めることができます。価格を自由に決められることで、競合製品に対する価格優位を狙ったり、在庫を抱えてしまったときに販売価格を調整できたりと、柔軟な価格戦略が展開できます。

小売店のメリット②:利益が多い

ナショナルブランド商品とプライベートブランド商品では、小売店が得られる利益に違いがあります。

通常、小売店は、メーカーや卸から商品を仕入れ、利益を上乗せして販売をします。
ナショナルブランド商品は、生産コスト以外にもメーカーや卸の人件費や物流費、宣伝費など、さまざまなコストが上乗せされ、仕入価格が決まります。そして、これに小売店の利益が上乗せされて販売がなされます。
対して、プライベートブランド商品は、製造メーカーから直接仕入れるため中間流通コストが抑えられます。さらに、小売業者が自社で広告宣伝をおこなうため、ナショナルブランド商品に比べ、仕入価格を抑えることができます。
結果として、ナショナルブランド商品よりも安く販売することができます。上記でも述べたとおり、小売店側で販売価格を自由に決定できるので、利益の確保もしやすくなります。

小売店のメリット③:消費者のニーズに合った商品を提供できる

ナショナルブランドの場合、企画元であるメーカーが商品を買いに来た消費者と直接関わる場面は決して多くはありません。しかし、プライベートブランドの場合では、企画元の小売業者は、商品を買いに来る消費者と常にダイレクトで関わります。そのため、消費者の意見を吸収しやすく、商品に反映させやすい環境にあります。
消費者の意見を反映することで、消費者のニーズに合った商品の開発や改良ができ、ファンの獲得・拡大につなげられます。

メーカーのメリット:返品リスクが少なく売上が安定

ナショナルブランドの場合、商品に問題があった際はメーカーが責任をとるため、商品の返品先はメーカー側になります。対して、プライベートブランドの場合は、メーカーは生産のみを担い、商品の責任は小売店が持つことになります。
そのため、商品に何か問題があった場合でも、メーカー側に返品されることがありません。

さらに、メーカーは小売業者から発注を受けて商品の生産をします。一定量の生産を安定的に続けることができれば、自らの売上の安定にもつながります。

消費者のメリット:高品質で安く購入できる

最近のプライベートブランドは安いだけではなく、高品質な商品が多く販売されています。つまり、ナショナルブランドと同じような品質の商品が、ナショナルブランドよりも安く購入することができるということです。
また近年の消費税率の引き上げによって、少しでも安い商品を買いたいと思う消費者も多いのではないでしょうか。プライベートブランドの高品質で低価格な点は、近年の消費者の傾向とマッチしているといえるでしょう。

プライベートブランドのデメリット

プライベートブランドには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
デメリットもしっかり把握して、プライベートブランドに関して理解を深めましょう。

小売店のデメリット①:在庫リスク

ナショナルブランドの在庫は取引形態によって、メーカーが引き取ることケースがあります。しかし、プライベートブランドの在庫は、小売店が商品を製造元から買い取るため、商品が売れなければそのまま小売店の在庫になってしまいます。そのため、小売店はプライベートブランドの商品を売り切れるよう、計画的に生産を依頼し、リスクを避けるようにしなければいけません。

小売店のデメリット②:商品への問い合わせやクレームは小売店で対応

プライベートブランドの商品に対する問い合わせやクレームは小売店で対応しなければいけません。また商品に不具合があった場合は小売業側で責任をとることになります。
したがって、小売店は問い合わせやクレーム対応のためにコールセンターの設置や人材の育成などが必要になる可能性があります。

メーカーのデメリット:ナショナルブランドの売上が下がる可能性がある

プライベートブランドの市場シェアが拡大すると、ナショナルブランドの売上が低下する可能性があります。ナショナルブランドの売上が低下すると、在庫が増えるため生産を抑えるようになり、その結果、メーカーの生産量は低下してしまいます。
すなわち、プライベートブランド商品の売れ行きがナショナルブランドの売れ行きを左右する可能性があるといえます。

プライベートブランド商品の例

現在、店頭では多くのプライベートブランド商品が販売されています。
ここでは、プライベートブランドの実例を紹介をします。

トップバリュ(イオングループ)

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
HPより

トップバリュとは、イオングループが展開しているプライベートブランドです。
イオングループは、2019年4月現在21,742件の店舗を構え、プライベートブランドの販売は1975年からおこなわれています。
トップバリュの中には、さらに4つのカテゴリ分けがされており、多様な消費者のニーズに対応しています。また、消費者のニーズを反映させるためにモニターテストやホームユーステストをおこなったり、消費者が安心して消費活動ができるように独自の厳しい基準で品質管理を徹底したりと、良質な商品作りのためにさまざまな取り組みがおこなわれています。

セブンプレミアム(セブン&アイグループ)

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HPより

セブンプレミアムとは、セブン&アイグループが2007年5月から展開しているプライベートブランドです。消費者に提供する価値を最優先し、安心安全なプライベートブランドを目指して作られました。これは従来の低価格重視のプライベートブランドに反したコンセプトであり、セブン&アイグループは、セブンプレミアムのことを「プライドブランド」と紹介しています。
また、商品開発では消費者の意見を反映しやすいように、「セブンプレミアム向上委員会」という公式コミュニティサイトを設置しています。消費者と協力して商品開発をおこなえる環境が多くのヒット商品を生む要因の1つといえるかもしれません。

プライベートブランドが激戦しているビール業界

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
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プライベートブランドの展開が多い商品としてビールが挙げられます。コンビニやスーパーでは、メーカーのビールと一緒にプライベートブランドのビールもたくさん並んでいます。
しかし、ひとえにビールといっても、原材料に応じて分類ができ、「ビール」「発泡酒」「その他の発泡性酒類」という3つの酒類があります。このなかで、とりわけプライベートブランドを扱う企業が注目しているのが「その他の発泡性酒類」です。いわゆる「第3のビール」と呼ばれているジャンルです。メーカーの商品では、サントリー社の金麦やアサヒビール社のクリアアサヒなどがこれに当たり、ビールや発泡酒とは原材料が異なります。

そもそも、お酒を販売するには酒税という税金がかかり、酒税法でお酒の種類ごとにそれぞれ税率が定められています。酒税法によるとビールの税率はほかのお酒よりも高く設定されており、発泡酒も2003年に税率改正で引き上げられました。税率が上がったことで小売価格も上がるため、ビール系飲料の価格は高騰しています。その結果、少しでも安い価格で販売できるようにビールや発泡酒よりも税率が低い第3のビールに注目が集まりました。税率の低いことに加え、プライベートブランドはメーカーの商品よりも仕入価格が安いため、さらに低価格で販売することができるます。これがビール業界でプライベートブランドを展開する企業のメリットといえるでしょう。
しかし、政府は2026年までにビール系飲料の税率を一律にする方針を発表しており、今後はビール系飲料の販売が大きく変化していくことが考えられています。

プライベートブランドのことをしっかり理解して商品選択をしましょう

プライベートブランドとは?ナショナルブランドやOEMとの違いは?ビール業界の事例あり
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いかがでしたか。
プライベートブランドのメリットやデメリット、ナショナルブランドとの違いは理解できたでしょうか。
なんとなく商品を買うのではなく、商品の背景を知ったうえで吟味して選べるようになると以前とは違った感覚で買い物ができるようになるかもしれません。

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