インサイドセールス立ち上げの基本知識|目的に応じたKPI設計や成功事例を紹介

近年、注目が集まっているインサイドセールス。新たに導入を考えている企業も多いのではないでしょうか。
インサイドセールスは顧客先に訪問しないため、移動にかかる時間やコストを削減して効率的に営業活動をおこなうことができます。
今回は、インサイドセールスを立ち上げるときの流れ、注意点などを説明していきます。
インサイドセールスの円滑な立ち上げに役立ててください。

更新日:2021.3.17

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは?
©Bojan Milinkov – shutterstock

インサイドセールスとは、これまで「営業」と一括りにされていた業務を細分化して、その一部を顧客と直接対面せずにおこなう営業手法のことを表します。

インサイドセールスは訪問をおこなわないため、移動にかかる時間を削減することができます。そして、その削減できた時間で別の業務をおこなうことができ、業務効率が良くなります。そのため、1人あたりの生産性向上が期待できます。
また、訪問をおこなわないことによって、交通費や場所代などの費用を削減することもできます。

インサイドセールスについておさらいしておきたい方はこちらをご覧ください。

営業プロセスのなかでのインサイドセールスの役割

営業プロセスのなかでのインサイドセールスの役割
トルテオ編集部

上の図では、分業制における営業プロセスを解説しています。
分業制の営業プロセスでは、まずマーケティングで見込み顧客を獲得します。その獲得した顧客をインサイドセールスが精査して、見込みの高い顧客はアウトサイドセールスに引き継ぎをします。そして、アウトサイドセールスが成約に結びつけるために訪問をして商談をおこないます。サービスの利用開始後はカスタマーサクセスが顧客と定期的に連絡を取り、サービス利用のサポートをします。

なかでも、インサイドセールスは、マーケティングとアウトサイドセールスをつなぐ役割を担っています。マーケティングで獲得した見込み顧客のなかから、購買意欲の高さを精査し、高い場合はすぐにアウトサイドセールスに引き渡します。一方、購買意欲の低い顧客にはダイレクトメールやWeb商談などの手法を使ってアプローチを続け、購買意欲を高めていきます。
また、場合によってはインサイドセールス部門が営業ツールを活用して、営業プロセスのすべてを担うこともあります。

インサイドセールスに注目が集まっている理由

インサイドセールスに注目が集まっている理由
©Gorodenkoff – shutterstock

インサイドセールスに注目が集まっている背景には、社会環境や技術の進歩があります。ここでは、近年インサイドセールスに注目が集まっている理由を紹介します。

生産年齢人口の減少により営業リソースが不足している

インサイドセールスが注目を集めている背景には、生産年齢人口の減少によって営業リソース不足があります。
内閣府が公表している「平成29年版高齢社会白書(概要版)」によると、2017年の15歳~64歳の生産年齢人口は、生産年齢人口のピークとなった1995年から約13%減少しています。さらに、2065年の生産年齢人口は2017年と比べて約40%減少すると予測されています。
このように、少子高齢化によって生産年齢人口が減っていくと、労働力の確保がしづらくなり、営業人員の採用も難しくなります。そのため、少ない人数でも成果を上げられる営業方法として、インサイドセールスが注目を集めているようです。

安価で便利な営業ツールが増えている

最近増えてきている安価で便利なツールには、SFAやCRM、MA、アクセス解析ツールなど、インサイドセールスで活用できるシステムもあります。
なかでも、オンラインで商談ができるオンライン商談ツールやWeb会議ツールは、場所を問わずに顧客と商談がおこなえるため、従来の訪問にかかっていた移動時間や手間を減らすことができます。それにより、急な問い合わせにも最短で対応することができ、1日におこなえる商談数も増やすことができます。
インサイドセールスではこのような営業ツールを活用することで、効率的に成果を出すことができます。

働き方を見直す必要性が高まっている

2019年4月から働き方改革関連法が順次施行され、多くの企業では多様な働き方を推進するためにさまざまな取り組みがおこなわれています。インサイドセールスは顧客を直接訪問しない営業手法のため、場所を選ばずに働くことができます。それによって、個人の事情に合わせた働き方を提供できる営業手法として注目が集まっています。

インサイドセールスの目的別タイプ

インサイドセールスは目的別に適したタイプがあり、BDR・SDR・オンラインセールスの3つのタイプに分けることができます。それぞれ目的が異なる上に方法も違うため、しっかりと確認してインサイドセールスを実施していきましょう。

アウトバウンドのリード創出(BDR)

BDRとは、Business Development Representativeの頭文字です。
主にエンタープライズの企業をターゲットとして、新規開拓をおこないます。大企業や官公庁など、自社にとって価値の高いと思われるターゲット企業に対し、最適なアプローチを実施します。
具体的にはMAやSFAなどのマーケティングツールを活用し、アウトバウンドコールやメールなどで成果を上げることが求められます。

インバウンドの育成(SDR)

SDRとは、Sales Development Representativeの頭文字です。
BDRとは反対に、インバウンド型となります。一般的にマーケティング部門からパスを受けたリードを育成することや、成果に結びつけることが目的です。
リードのアクションに対して、セールス部門として適切で素早い対応が求められます。

オンラインセールス

オンラインセールスとは、Web会議システムなどを活用しておこなう商談のことです。
上記タイプよりクロージングに特化したタイプといえるでしょう。リードの創出・育成をおこなったあとに、ツールを活用しながらオンラインで成約へ繋げます。

インサイドセールス組織の設計方法

インサイドセールスを立ち上げるためは、まずシナリオ設計を考えることが重要です。顧客にアプローチするタイミングや提供する情報を精査します。シナリオ設計を考えたら、KPIも設定しておきましょう。

その後は、設計したシナリオに沿って組織を作っていきます。最適な人材を配置するために、人材採用や人材育成が必要な場合もあるでしょう。

インサイドセールス組織をしっかりと機能させ、成果を上げるためには、チームメンバーにインサイドセールスの意義や重要性をしっかりと理解してもらう必要があります。
なぜインサイドセールス組織を立ち上げるのか、従来の方法とどのように異なり、どのような成果が見込めるのか、といったことを伝えることも大切です。

インサイドセールスの立ち上げで失敗しないための2つのポイント

インサイドセールスを管理するときの2つの注意点
©Evannovostro – shutterstock

インサイドセールスは日本では比較的新しい役割になるため、周りからの見え方や評価基準に気を配る必要があります。ここでは、インサイドセールスを管理するときの注意点を紹介します。

他部署から成果が見えにくい

インサイドセールスは直接売上を追うわけではない場合があるため、他部署から見て成果がわかりづらい点に注意が必要です。その結果、社内で怪訝な目で見られることもあります。
そういった亀裂を生まないために、インサイドセールスの役割を社内でしっかり認知してもらったり、マーケティングやアウトサイドセールス、カスタマーサクセスチームと部署を分けない組織形態を取ったりするなどさまざまな工夫が必要です。

評価指標の設定が難しい

インサイドセールスのKGIは商談設定数となることが多いでしょう。しかし、ただ単に商談設定数だけをKGIにしてしまうと、見込みの高さを考慮せずに、アウトサイドセールスに商談設定を共有し、売上につながらない無駄な稼動をさせてしまう可能性があります。
これでは、インサイドセールス本来の役割を見失うことになってしまいます。

その解決策として、見込み顧客の育成プロセスをKPIに含めるというものもあります。
例えば、「潜在→顕在→アポ見込み→アポイント」のようにステージ別に評価基準を設定します。
このように顧客の育成プロセスをKPIに含めることで、インサイドセールス本来の目的から外れない評価指標をつくることができます。
ほかにも、マーケティングやアウトサイドセールスがフォローしきれていない見込み顧客をフォローして商談設定した件数をKPIに含めている企業もあります。
インサイドセールスを有効活用するためには、上記の解決策やアポ数やコール数などをうまく組み合わせて評価指標を工夫すると良いでしょう。

インサイドセールスの立ち上げにおける必要な6つのステップ

インサイドセールスの立ち上げにおける必要な7つのステップ
©nhungboon – shutterstock

ここでは、インサイドセールスを立ち上げるときに押さえておきたいステップを紹介します。強固なインサイドセールスチームをつくるために意識しておきましょう。

ステップ①:導入目的を明確にする

インサイドセールスを立ち上げるとき、まず目的を明確にすることが大切です。インサイドセールスを活用することで自社がどうなりたいのかを決めたうえで、立ち上げの計画を進めていくと良いでしょう。
またインサイドセールスは、立ち上げてからすぐに成果が出るものではありません。目的を明確に決めておくと、思うように成果が出ないときでも的確な施策が打つことができるでしょう。

またインサイドセールスの目的は、アポの獲得や見込みが高い顧客の掘り起こしなど、企業によってさまざまです。目的に応じて、導入するべきツールも異なるため、まずはじめにインサイドセールスを導入する目的と用途を明確にする必要があります。

ステップ②:自社のアプローチ方法との相性を確認する

インサイドセールスによってすべての業種で営業効率が上がるかというと、そうとも限らないでしょう。例えば、顧客の元にパソコンがないような場合だとWeb商談を導入しても、営業効率の向上にはつながりません。
また、自社で扱っている商材の価格や商談設定の難易度によっても相性があります。あらかじめインサイドセールス部門でおこなうアプローチ方法が自社商材の販売に対して適切なのか確認しておきましょう。

ステップ③:インサイドセールスの役割と責任範囲を定義する

ここでは、商品やサービスを受注するまでの営業プロセスのなかで、インサイドセールス部門が責任を持って受け持つ部分がどこからどこまでなのかを明確にします。
インサイドセールスが担う役割は企業がインサイドセールスを導入目的によって異なりますが、責任範囲を明確にすることで、他部署との連携を強め、営業活動を円滑におこなうことができるようになります。

ステップ④:KGI、KPIを設計する

インサイドセールスの目的や役割が決まったら、KGIとKPIを設計する必要があります。
KGI(経営目標達成指標)とは、企業や組織の最終的な目標を定量的にあらわした指標のことです。そしてそのKGIを達成するために、過程を細分化して計測し、評価するための指標をKPI(重要業績評価指標)といいます。
インサイドセールスにおけるKGIはアポイント数や商談金額、受注金額などが挙げられます。そのKGIをもとに接触数やアポイント取得率などをKPIに設定していきます。

KPIの設定方法を詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ステップ⑤:組み合わせるツールを理解する

自社のアプローチ方法との相性が確認でき、目的や役割が決まったら、さまざまなツールを活用しまして、より効果的な運用ができるようにしましょう。
インサイドセールスに必要なツールはおもに以下の6つが挙げられます。

  • Web会議システム
  • オンライン商談ツール
  • SFA
  • CRM
  • MA
  • アクセス解析ツール

インサイドセールス立ち上げにあたって、ツールをお探しの方はこちらをご覧ください。
自社で扱っている商材の価格や販売難易度に合わせて、必要なツールを取り入れていきましょう。

ステップ⑥:業務内容を明確にし、社員へ共有する

導入するツールが決まったら、顧客のステータスに対する対応方法やパターンなど、業務内容を明確にしていきます。
顧客の状況やニーズの度合いに合わせてWeb商談にするのか、アウトサイドセールスに受け渡して訪問するのかを決めたり、顧客の状況を想定してある程度の型を設定したりしましょう。

また、インサイドセールス部門の設置に関しては、社内でしっかり共有しておく必要があります。社内でまだ浸透していない役割を担う部門は、社内の既存部門から見れば何をしているのかわかりにくいと思われる可能性もあります。インサイドセールスは他部門との連携も重要なため、インサイドセールスチームに属する社員だけでなく、社内のメンバー全員にも周知しておきましょう。

インサイドセールスの立ち上げ事例

ここまで、インサイドセールスについての知識やインサイドセールスの立ち上げ方法などについて紹介してきました。次に、インサイドセールスを立ち上げに成功した例を紹介します。この事例を参考に、自社でのインサイドセールス運営を検討するとよいでしょう。

インサイドセールスの立ち上げ事例|Sansan社の事例

Sansan社では、2011年ごろにインサイドセールスを立ち上げました。

立ち上げ当初、マーケティング部門はリード獲得件数、インサイドセールスチームはアポ獲得件数、営業担当は受注件数と、KPIを設定しました。これらは、それぞれの役割分担に合ったKPIを設定したように思えますが、マーケティングが生み出したリードに対してインサイドセールスが対応できないなど、各部門の行動や目標が部分最適になり、全体最適ができていない状態だったといいます。

また、各セクションが持つデータベースもばらばらで顧客情報の連携が不足していたり、インサイドセールスのノウハウやナレッジの共有が追いつかず属人化していたりなど、インサイドセールスの運営にはさまざまな課題があったそうです。

これらの障壁を乗り越えるため、Sansan社では、KPIの見直しやデータベースの連携、マニュアルの改善などの施策をおこないました。

受注金額という最終的な目標をKPIに置き、案件化率の数値も追うようになりました。また、データベースの連携はメールアドレスを軸に情報を紐づけ、名刺情報の名寄せもおこないました。さらにSalesforce上で案件の進捗情報を可視化できるようにしました。

また、インサイドセールスの行動が受電対応ばかりにならないよう、自動の受電対応やIP電話などを導入し、受電対応や業務負担の軽減に成功したそうです。このように、インフラやツールなどの業務環境の改善もインサイドセールスの立ち上げに貢献したようです。

参考:事例で分かるインサイドセールス Vol.1 Sansan株式会社編|セールスフォース・ドットコム

分業ではなく、協業へ

インサイドセールスは、作業を細分化して効率化させるだけのものではありません。マーケティングやアウトサイドセールスと協力して企業全体の成長を促すものでもあります。限られたリソースで効率的に成果を伸ばしたいという企業の方は、インサイドセールスを導入してみてはいかがでしょうか。

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